6月2日のFMかほくでお話する原稿として書いたものをそのまま貼り付けます。
FM78.7MHz、ネットラジオで火曜日朝10時、その後YouTubeにもアップしますので、読むのが面倒な方はそちらをどうぞ。
<ノダカズキ『自然はすごい いつもの道が美しく見える5つの視点』積読チャンネルより>
今日は私の大好きなYouTubeちゃんねる「積読(つんどく)チャンネル」からの情報です。
積読チャンネルに出演されているは、ちょっと理科の知識が危うい「飯田さん」という方と、何でもかんでも人間社会やビジネスに例えたがる理系インテリの「堀元さん」という、男性お二人です。
先日、このチャンネルで、ノダカズキさんの『自然はすごい いつもの道が美しく見える5つの視点』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)っていう本が紹介されていました。
まずはノダカズキさんのご紹介から。
ノダカズキ※書籍に掲載されている情報から
ネイチャーガイド/自然観察家。株式会社白老(しらおい)ネイチャーオフィス代表取締役。佐賀県出身・1997年生まれ。幼少期より自然の美しさに魅せられる。愛媛大学農学部に入学するも、森林だけではなく多角的な自然の観点を学ぶため1年で中退。そのあとは自然をテーマに国内外を飛び回る。2020年には北海道白老町に移住。現在は自然の美しさとおもしろさを伝えることを軸に、ネイチャーガイドや自然教育、ワークショップなど提供。音声で聞く自然ガイドをコンセプトにPODCAST番組「ノダカズキの野良歩き」「ミモリラジオ」を制作。ミモリラジオは自然部門で1位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
今回の面白さの一つは、自然界の生き物たちの生き残り戦略を、堀元さんが全部
「現代の企業やマーケティング」
に例えてしまうことで、またその例えが秀逸です。
それでは早速YouTubeの内容からピックアップしたことをお話いたします。
【本編1:紅葉は「赤字部門の閉鎖」!?】
まず、動画の冒頭で堀元さんが飯田さんに
「なぜ秋になると植物は紅葉するのか、わざわざ赤くなる理由は何か?」
と質問します。
飯田さんは当然のように
「わかんない」「恋をしたからかな?」なんてうざい回答をして怒られるという掛け合いがあります。
確かにそんなこと考えたこともありませんでしたから、私も興味津々で聞きました。なぜ葉っぱが赤くなるのか。
堀元さんの例えによると、これ、
「冬になって赤字部門に転落したから、工場を閉鎖して生産設備を売り払っている色」
なんだそうです。
どういうことかといいますと、葉っぱには光合成をして栄養を作る「葉緑体」っていうのがありますね。これが植物にとっての「生産工場」。でも、この工場を維持するのにも結構コスト(栄養)がかかっているんです。
春や夏は大黒字なんですけれど、冬になると太陽の光が少なくなって、維持コストに見合わなくなる。つまり「赤字部門」になるんです。
だから植物は
「もうこの工場は閉めちゃおう!」
って言って、冬の間に葉っぱを落とします。
ただ、捨てる前に、まだ使える生産設備(葉緑体)を分解して、栄養として幹の中にせっせと「回収」します。企業が倒産する前に設備を売却して現金を回収するみたいに。
そして緑色の葉緑体が回収されていくと、葉っぱ本来の色が出てくる。それがイチョウの「黄色」なんです。葉っぱって本来は黄色いらしいんです。
じゃあ、モミジやカエデの「赤」は何かっていうと、切り離された廃工場の中で、残された成分が化学反応を起こして錆びちゃった色なんだそうです。
動画の中で、これを聞いた飯田さんが
「じゃあ俺たちが綺麗だなって見てる紅葉は、連鎖倒産して工場が次々閉鎖されて、鉄くずが錆びていく色なの!? 切なすぎる! ザ・ノンフィクションじゃん!」
って頭を抱えていて、この二人のやり取りはとても楽しめます。
私もこれを知ってしまったので、次の秋からは紅葉も違って見えそうです。
【本編2:メジロ航空で行く、カタツムリのアメリカンドリーム】
続いて、「ノミガイ」という小さなカタツムリのお話です。
このカタツムリ、歩くのは遅いし海も泳げないのに、なぜか太平洋の島々に広く分布しています。どうやって海を渡ったのでしょうか。
なんと、
「あえて天敵の鳥(メジロ)に食われて、お腹の中でじっと耐えて、別の島でお尻からフンと一緒に生還する」
っていう、とんでもない方法を取っているらしいのです。
堀元さんはこれを「メジロ航空」って呼んでいました。
これ、メジロに食べられて生きてお尻から出てこられる確率、約15%なんだそうです。命がけですね。
これを聞いた堀元さんがまた企業例えを炸裂させ、
「殻一つ、全財産をスーツケースに詰めて、15%の生存確率に賭けてメジロ航空でニューヨーク(新天地)に渡る若者だ!」
「グローバル社会で一発当てるための経営戦略だ!」
この例えも秀逸です。
すると飯田さんが
「いや、カタツムリがそんな企業の苦しみみたいなこと考えてるの!? 今いる場所でそこそこ食えてたらそれで良くない!? なんでそんなリスク背負うの?」
とカタツムリに同情します。
2人そろってのたとえ話が本当に楽しくわかりやすく、引き込まれました。
【本編3:人間は、ターゲット外の「虫向け広告」に熱狂している】
もう一つ、動画の中で「なるほど!」と唸らされたのが、植物の「花」についての話でした。
百合やバラみたいに、虫に花粉を運んでもらう花は、綺麗な花を咲かせたり、いい匂いを出したり、甘い蜜を用意したりしますね。
本の著者であるノダさんは、これを
「虫をターゲットにした、花のマーケティング戦略」
と書いています。
つまり、花が綺麗に咲き誇っているのは、ハチやチョウに向けた
「広告ポスター」
です。私たち人間は、そのターゲットからは完全に外れています。
堀元さんはこれを
「ルミネの女性向けの名作キャッチコピーを、ターゲット外の男の俺が勝手に感動してポスター保存してるのと同じ状態だ」
と例えます。そのコピーは
「試着室で思い出したら本気の恋だと思う」
というもの。
あとで調べてみたところ、このコピーは、コピーライターで小説家の尾形真理子(おがた まりこ)さんの作品でした。
花は人間に向けて咲いていないのに、人間が勝手にターゲット外の広告を見て
「うわ、綺麗! 最高!」
と熱狂。すると、そのターゲット外の人間が勝手に興奮した結果、
「花屋さん」
を作って、お金を出して花を買って、自宅で水をやって、子孫繁栄を勝手にお手伝いし始めた。
これはてマーケティングとして見たら、とんでもない大成功というわけです。
動画の最後の方で飯田さんが
「俺、この本と小学校の理科の教科書、両方読んだほうがいいかもしれない……」
言うと、堀元さんが
「教科書は今さら面白くないから、こっち(この本)を読みなよ!」
とツッコミを入れるシーンがあるんですけれど、本当にその通りだなと思いました。
【エンディング:日常が愛おしくなる視点】
今日はYouTubeチャンネル「積読チャンネル」で紹介されていた、ノダカズキさんの著書『自然はすごい いつもの道が美しく見える5つの視点』の、おもしろエピソードをお届けしました。
この動画を見てからというもの、現在庭に植えているピーマンやナスやズッキーニを見ながら
「この子たちも、蜂に向かって広告してるな」
とか、秋になると葉っぱが赤くなるブルーベリーの木を見て
「ブルーベリーも秋になったら工場閉鎖するんだな」
と、今までになかった言葉が頭に浮かぶようになりました。
ただ綺麗だな、不思議だなと見るのではなく、人間社会に例えてみることで、植物が労働者のように見えてくるから不思議です。
お二人のYouTube動画そのものがとにかく面白いので是非ご覧いただきたいですし、そのベースになったノダカズキさんの本もチェックしてみてください。
<我が家のパンジー>
<我が家のパンジー>
その後、私も先日から気になっている植物のことを、Geminiちゃんに聞いてみました。
プランターに植えているパンジーのうち、白だけ虫やナメクジが食べます。紫や黄色はほとんど食べられません。どうしてですか?
プランターのパンジーで、なぜか「白だけ」が狙われてしまうのですね。お気に入りの花が食べられてしまうのは悲しいですが、実はこれ、植物の世界では非常によくある興味深い現象です。
虫やナメクジが特定の色の花(今回で言えば白)を好んで食べるのには、明確な理由がいくつかあります。
1. 視覚的な目立ちやすさ(特に夜間)
ナメクジや多くの害虫(ヨトウムシなど)は、夜間や薄暗い時間帯に活発に活動します。
暗闇の中では、紫や黄色といった濃い色や原色に比べ、白は光を反射してぼんやりと浮かび上がるため、虫たちにとって圧倒的に見つけやすいのです。
「そこに美味しそうなものがある」
と真っ先に気づかれてしまうため、集中攻撃を受けやすくなります。
2. アントシアニン(色素)と渋みの関係
パンジーの「紫」や「黄色」の鮮やかな発色には、アントシアニンやカロテノイドといった色素成分が深く関わっています。
これらの色素、特に紫に多く含まれるアントシアニンには、虫にとって「苦み」や「渋み」に感じられる成分が含まれていることがあります。
一方で、白い花はこれらの色素(防御物質)をほとんど持っていません。虫からすると、紫や黄色が「ちょっと苦くてマズい花」であるのに対し、白は「苦みがなくて柔らかく、食べやすいごちそう」になっている可能性があります。
3. 花びらの質感(柔らかさ)
植物は、色素の量や種類によって花びらの細胞の硬さが変わることがあります。
一般的に、白い花びらは他の色に比べて組織が柔らかく、水分を多く含んでいる傾向があります。歯(歯舌)で削るようにして食べるナメクジや、顎の弱い小さな虫にとって、柔らかい白い花びらは非常に食べやすいのです。
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