音楽授業YouTube動画配信のきっかけから初期段階のお話
※このエッセイは2020年4月、コロナで休校になったときのお話です
※このエッセイ内の固有名詞、 西野真理の出版物にはすべて実名で記載されています
<思いつき>
私はだいたい突然何かしようと思いついて、本当にする。
大したことない事もあれば、たまに大きいこともある。
最近の小さい思いつきは、学校の職員トイレのドアノブに触れなくていいように、ドアと床との間に箱を挟んでみたこと。
「YouTubeで授業動画を配信しよう」
2020年4月19日(日)急に思いついて、翌朝20日(月)ドレスやティアラなどの必要物の入った大きなバッグを肩に担いで職場へ向かった。
職員室へ入ると、みんな私に注目したので
「YouTubeに授業動画アップすることにした!」
と宣言した。
やると言ったが、どうすれば動画アップできるのか知らない。
そこで一計を案じた。
こういう時は職員室で少し大きめの声で困っていることを喋ればいい。そうすれば得意な人は近寄ってくる。
「動画アップしようと思うけど、やり方知らないのよね~。
だれかYoutubeに動画アップする方法知らないかな~」
後日談になるが、この場面をKさんはよく覚えていて、こんな風に話してくれた。
「あのとき結構大きい声で言いましたよね。あの時『え、これに答えるの俺?じゃなかったらHさんかMさん』と思って様子をうかがってたらMさんが行きました」
そう、新型コロナの関係で、学校では職員新任式もなければ、歓迎パーティーもない。生徒だって自分がこれからどの教科をどの先生に教わるのかも知らないまま休校に入っている。学年や校内の仕事が一緒ではない人とは話をする機会もなくこの日を迎えていた。
「とりあえず動画を撮ればいいってこと?」
と聞くと
「撮ればいいってこと」
と地球語で教えてくれたので、音楽室に行って撮ることにした。
その後私はMさんのことを師匠と呼ぶことにした。お願いするときだけ。
5日後、このエッセイを書き、師匠の実名登場の許可を得ようとラインでエッセイを送信したところ
「私の担当は数学です」
とエッセイ部分訂正依頼のラインが帰ってきた。
師匠、大変失礼しました。
<Hさんからのアドバイス>
Hさん、町教育委員会指導主事である。Hさんについては以前どこかに書いたが、かつての同僚で年下だが、人間的にも仕事においても優秀な人物で、今も仲良くしていただいている。
動画のことを思いついた私は、このことを最初にHさんに相談しようと思いついた。こういうときの思いつきの感度はかなりいい方であると自負している。
そこで早速、Hさんに動画のことを提案してみると
「教育長さんも、『だれかそういうこと始めてくれないかな?』っておっしゃってたところなんですよ」
まさかの展開である。
本当のことを書くと
「はやまるな!」
と言われるんじゃないかと、ちょっぴり心配していた小心者の西野真理である。
実はY教育長もかつての同僚で、優しく誰からも信頼された人物。
(※美女エッセイを全巻お読みいただくと、数回ご登場いただいています)
Y教育長がこんなふうに思っていらしたとなれば、鬼に金棒だ。
「・・・で、まず鑑賞の動画をアップしてみようかな」
と提案してみると
「それが・・・もし休校措置が終わって授業が再開されたとしても、はじめのうちは鑑賞になると思う。歌は歌えないかも・・・。だったら逆に動画で歌唱指導がいいんじゃないかな」
「なるほど!」
最初の授業の曲を何にするかはHさんとの会話のあと、すぐに決まった。
津幡中学校校歌である。
授業を1回もできないまま休校に入ってしまっている今、新入生は津幡中学校の校歌をまともに聞いたことがないのだ。
(お昼の放送で1回流しただけ)
せっかく入学したのだし、まずは校歌を知り歌って欲しい、これが最初の私の願いだった。
<ドレスにティアラと年齢公表>
これは考えるまでもなく、最初からこの姿を想定した上で始まっている。
このエッセイをお読みの皆さん、もしあなたが中学生の保護者で、お子さんが自宅で学校から配信された動画を見ることになったら
「さあ、きちんと音楽の動画を見てお勉強しなさい」
と言いますか?言うわけないですね。もちろん私も。
生徒の立場だったら、おやつを食べながら、猫と遊びながら、数学のドリルをやりながら見る。見るならまだまし。最初の10秒ほど見て、トイレに行ったり、スマホをいじったりするに違いない。
でも、ドレスにティアラの先生が出てきたらどうでしょう?
そう、先手必勝。
そしてもう一つ。
最初の自己紹介で
「~私は今年で58歳になりました。58歳ということはあと2年しか皆さんを教えられないということです~」
と話ながら、名前と年齢をホワイトボードに貼った。
もしこのドレスとティアラの女性が28歳だったら、間違いなく反感を買うし、バッシングを受ける。
でも58歳なら、まあしかたない。文句も言いにくいだろう。
スマホのカメラで動画を撮り終え、着替えを済ませて職員室へ戻り、すぐM師匠に今後の一連の作業をご教授いただいた・・・全部師匠がやった。
その後、教頭先生に動画について話すと、ちょっと困ったような様子だったが、しばらくすると
「教育長さんが『どんどんやってほしい』とおっしゃっている」
と、少し意外な様子だった。
フフフ!私は知っていた。
翌日・4月21日(火)2本目に取りかかった。
編集も自分一人でやってみたが、なんとかできた。
子供の頃初めてピアノを両手で弾いたときの100倍は簡単だ。
後で気づいたのだが、1本目の校歌は奇跡的に14分55秒だった。
結局、翌日撮り直すことになったが、最初のものは視線のズレも多く、家で見てくれた彼からも
「長い動画なんてだれも見ないよ」
と指摘された。
確かに少し長すぎる。
撮り直すことができて本当に良かった。
※この問題は後日ちょっとした手続きで簡単に解決
4月23日(木)3本目を撮り終え編集も終えてYouTubeにアップしようとしたところでまたも問題が!
「エーデルワイス」
が著作権に引っかかり、YouTubeにアップできないのだ。
YouTubeさんすごい!
これ、きっとAIで監視してるんだろうな。
それにしたって教科書に掲載されている曲なのに。なんとなく釈然としないが仕方がない。
翌日「エーデルワイス」を割愛して撮り直した。
この日はとても疲れた。
<ピアニスト・小林美智さん登場>
この動画撮影、とても楽しいのだが、ただ一つ嫌なのは事前にカラピアノを録音すること。何度も何度も間違えて、ほんの数分の曲を録音するのに30分くらいかかる。
4本目は3年生向けに滝廉太郎作曲の「花」と決めたが、この伴奏が弾けない。
じゃあ授業でどうしているのかご心配の皆さん、ご安心ください。授業なら大丈夫。適当に音を省いたりコード弾きにしたりなど、うまくごまかすコツは教員生活でマスターしているのです。
しかし、世界に発信する動画となるとそうは行かない。しかも名曲「花」。
ごまかすことなど許されない。
音楽室に行って練習を始めたが、いつもプロフェッショナルにごまかし続けたところが当然だが弾けない。指使いも悪いのだろう。
ちょどその時、ピアニストの近藤陽子ちゃんからメールが来たので
「『花』の指使い教えて!」
と電話でご教授いただいた。
陽子ちゃんは
「私が録音しましょうか?」
と言ってくれたが、
「だめだったら指導用教科書に付属のカラピアノがあるから、それ使うね」と、せっかくの提案をお断りした。
「私、録音して送りますよ」
お願いするしかないだろう。しかし、相手はプロのピアニスト。謝礼のお支払いを提案すると
「謝礼なんていりません。コロナのためになにか出来た!って、しかもピアノで助けられた!って思うだけで、それだけで大満足です!!ボランティアさせてください」
<遠隔レッスンのお願い>
歌の師匠・関定子先生にメールした。
~関定子先生~
コロナ禍の中、お元気でお過ごしでしょうか。西野真理です。
今日は、私の動画レッスンについてのお願いです。
休校がさらに長引きそうな現状、中学校教員としてもあと2年。このままじっとしていられず、YouTubeに授業動画をアップすることにしました。
ただ、それについて感想を周りの人に求めても
・だいだいお世辞
・本心を言われると腹が立つ
のは見えていますので、きちんと謝礼をお支払して、動画に対するダメ出しをいただきたい、それをお願いできるのは関先生しかないと思い、つまり、遠隔レッスンのお願いです。
3本のYouTube動画を見ていただき、
「時間を指定していただいて、こちらから電話を差し上げる」
「メール、またはラインでコメントをいただく」
という形でお願いできないでしょうか。
レッスンのお礼は、先生の銀行口座(できればゆうちょ銀行)に振り込ませていただきたいと思っています。
お願いできれば、YouTubeにアクセスしていただくことになるのですが、1つは「津幡中 校歌 西野真理」で普通に出てきます。あと2本は今のところ限定公開で、下のURLを使ってアクセスしていただくことになります。どうぞよろしくお願い致します。
<今後の予定>
学校が再開されることを祈りつつ、今後もしばらく動画を撮りYouTubeアップする毎日が続きそうだ。
「エッセイのネタが出来ましたね!」
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