「あなたの認めたくないことは何ですか?」西野真理、元中学校音楽教諭としての再スタート 2025年6月30日(月)

※先にこちらをお読みになることをお勧めいたします

2025年6月26日(木)川北町立川北小学校で出前授業・研修会講師にお招きいただきました。
出かける前に自分の考えをまとめたチラシを作り、久しぶりの授業と先生方との質疑応答をするうち、自分の方向性が鮮明に見えてきました。そこで、その決意が鈍らないうちに自分の考えをまとめ、YouTubeへフリートークとしてアップしようかなと思い始めました。
最初は本当に原稿なしのフリーで話すつもりでした。しかしそれはあまりに乱暴。おそらく売れっ子のYouTuberの皆さんは、思い付きでおしゃべりされているように見えても、その裏に膨大な時間を費やしていらっしゃるはず。思い返せば私だって、慣れていなかったとはいえ、最初の15分授業動画にトータル6時間かかっていました。最初どころか今もそう変わらないと思います。
さあ、それでは原稿を書きましょう。

<あなたが認めたくないことは何ですか?>
「あなたが認めたくないことは何ですか?それを認めれば道は開けます」
この言葉をどこで見たのか忘れましたが、ずっと心の中で響いていました。
(ブログ公開後にわかったので追記します。心理学者・加藤諦三(たいぞう)さんの言葉でした)
そうなんです。私が認めたくないのは
「私が中学校の音楽の先生だった」
ということです。
この言葉は、どちらを向いて発しても失礼、または意味不明です。でも私には重くのしかかっていました。その証拠に
「元中学校音楽教諭」
を明記したのは、先日6月26日の午前中に作ったチラシが初めて。

中学校の先生をしながら、たまにどこかにお呼びいただく時、もちろん美女コンのプログラムにも、私はプロフィール欄に一切「中学校音楽教諭」とは書きませんでした。私の歌を聞いてうまいとか下手を判断されるのなら仕方ありません。しかし、歌う前に中学校の先生だということがわかると
「なあんだ、(歌手じゃなくて)中学校の先生なんだ」
とがっかりされると判断したから。
実際に面と向かって言われたり、明らかにがっかりされた経験もあります。
もちろん、それは毎回ではありません。もしかすると、逆に
「中学校の先生でこんなに歌えるんだ!」
と思ってくださった方もあるかもしれません。でも、私の心が私にささやくのです。
「『せっかく歌手に来てもらったと思ったら、中学校の先生なんだ』と思われてるんだろうな~」
そうです、私は自分が37年間もやって来た自分の仕事を、歌手・西野真理をアピールする段階ではどうしても認めたくなかったのです。そしてそう思ってしまうことに対してもコンプレックスを抱いていました。
そんな時見たのが
「あなたが認めたくないことは何ですか?それを認めれば道は開けます」
という言葉。
いつか自分が中学校の先生だったことを歌手・西野真理として認めなければ道は開けないことをつきつけられた言葉でした。

<中学校音楽教諭として>
一方、中学校音楽教諭であるときの自分に対しては、高い自己評価をしていました。誤解されないように書いておきますが、あくまでも「音楽教諭」の部分です。それ以外、例えば学級担任、校務分掌、部活動指導などは、私より若い、それこそ新人の先生でも私よりずっと立派な方はいくらでもいらっしゃいました。私はそういう先生たちのおかげで37年間先生を続けられてきたと思います。ここで改めて感謝申し上げます。ありがとう!

高い自己評価の理由としては
・一流の師に学び続けているという自信
・声楽コンクールでの上位入賞実績での自信(現役教諭での入賞者はまずいらっしゃらない)
・声楽だけでなくリコーダー実技、簡易編曲能力、授業のトーク力に対する自信
・手際の良さへの自信
これは自分でそう思っているだけで、他の方からちっとも高い評価をされていなかったかもしれません。聞いたわけでもないですから。でも、自信を持ち続けてきたことは確かで、精神衛生的にはとてもよかったと思います。

<私が中学生だった時の音楽授業の思い出>
ブログ上で人の悪口を書くのはためらわれるところです。しかし、これを書いておかないと私が音楽の授業をする上で大事にしてきたことがわかりにくいので書かせていただきます。
それは私自身が中学校3年間に受けた音楽の授業。
その先生はF先生という私より40歳ほど年上の女性の先生でした。おそらく大正生まれ。
先に少しだけF先生を弁護すれば、大正時代にそれほど高い音楽教育を受けることなく音楽の先生になってしまったF先生。生徒の前で自分を保つためには、こうするよりほかなかったのでしょう。

その先生の授業は
・ただ怖い
・椅子にきちんと座って黙ってただ聞くだけ
・ピアノの技能はかなり低い
・リコーダーの授業でリコーダーを吹いて聞かせてくれたことはない
・鑑賞の授業は、先生の板書を写す、または私のような生徒に感想を言わせて、それを他の生徒に写させる
もっとあるけれどこれくらいにしておきます。
当然生徒が歌を歌うはずがありません。
そんな3年間のうち、今も強烈に覚えているワンシーン。
リコーダーのテストの時のこと。教えられないまま、自主練習という授業。テストは自分で器楽の教科書を見て練習して、好きな曲を選んで一人ずつ先生(クラス全員)の前で演奏するという形式。私はリコーダーがとても得意だったので、器楽の教科書の曲は簡単すぎて飽き飽きです。そこでテストの時は、器楽の教科書の中の一番難しい曲を選び、技術をひけらかすためにテンポをあげて吹きました。
吹き終えると先生は一言
「速すぎる」

先生になった時、そして続けている間も、絶対こんな授業をしてはいけないと肝に銘じていました。
そんな私は
「私よりはるかに高い技術を持った人に教えられたい」
という欲求を持ち続け、それは今も変わっていません。そしてその願いはオペラ歌手・関定子、ピアニスト兼歌手・塚田佳男、教育者・野口芳宏によって叶えられ現在に至っています。

<内灘中学校支援員Kさんのこと>
内灘中学校勤務時代のことです。特別支援学級から音楽といくつかの授業をホーム学級で受ける生徒に、支援員のKさんが授業についてきてくださっていました。
そのKさん、いつもとても楽しげに、それどころか中学生より熱心に授業を受けてくださっている感じが常に感じられました。
そんなある日、Kさんとの雑談のとき
「西野先生の授業受けるの、楽しみなんです!」
と言ってくださいました。お世辞半分にしても私はこれがとても嬉しく感じられました。というのは、私自身も
「多くの日本人が義務教育までしか音楽の授業を受けない。だから、大人も中学校3年生も教育を受けたという意味での知識は同じ。だからこそ中学校で精いっぱい音楽を教えたい。逆に言えば大人にも通用するような授業をしたい」
と思っていたからです。Kさんのこの言葉で、今までの考えを一層はっきり自分の中に刻むことができました。
余談ですが、その後Kさんは養護教諭試験に合格され、現在、中学校の養護教諭として活躍されています。

ついでに書き加えますと、たまに私の授業中の廊下を通りかかった先生、研究授業で他校から音楽の授業以外で訪問された先生、卒業アルバム写真を撮るために校内を回っていらっしゃるフォトスタジオのスタッフの方、教材納入の業者さんからも
「西野先生の授業は楽しい」
とよく言っていただいていました。
そういえば、参観日に自分の子どもさんを見に来られたはずの保護者の皆さんも、いつの間にか音楽の授業に参加されていたように思います。

<方向修正>
そんな教員生活も2022年3月末で終了。私は一般の人対象に、楽しく歌を歌いながら歌う技術を少しずつ学べるような歌の会をしたいと考え、退職1日目からそれを始めました。「Sing幾多郎」という歌の会です。説明なしでもうおわかりと思います。そうです。人口3万人のかほく市に、そんな人が毎回たくさんお集まりくださるはずがないのです。私のやりたいことは、ほぼどなたにも必要とされていないのてす。

一方、私が37年間自分の技術として蓄積してきたのは、小中学生を教えるための技術、小中学生に楽しく音楽を伝える技術。自主コンサート活動・美女コンは歌手・西野真理として大事な活動で、それはそれで有りです。でもそれ以外に中学校の音楽の先生をしていたからこそやれる活動があるはず。
退職後3年で新たな道筋を作って4年目からは本格スタートという目標を密かに立てていましたが、方向がずれていました。私の認めたくなかったことをきちんと認めるときです。

<元中学校音楽教諭カミングアウト>
そんな時に、川北小学校からの出前授業と先生方対象の研修会講師のオファー。
私が元中学校音楽教諭であったからこそのオファーです。
先生方の中には、
・歌の個人レッスンが受けたくても受けに行く時間がない
・歌の先生を見つけられない
・ただ歌がうまいだけではなく、現場を知っている人にアドバイスを受けたい
・歌だけではなくて、リコーダーとか指揮法とか創作とか音楽鑑賞とか音楽に関するいろいろなことを学びたい
・どうせ受けるならお話の上手な楽しい研修を受けたい
・いい音楽の授業を見てみたい
・小中学生向けのレクチャーを含んだ、楽しいコンサートをしてほしい
・防災教育もちょっと挟んでもらいたい
という方がたくさんいらっしゃるはず。
これ、私にピッタリ。
当然です、私が自分にできることを書いたのですから(笑)。

ここでやっと、今回のブログ最初に戻ることになります。
川北小学校へ出発する前に作り、先生の人数分プリントアウトしてお配りしました。
そしてそれを帰宅後何度も練り直し、決意が鈍らないうちにプリントパックへ500枚発注しました。


















<S校長先生からのお礼のライン(抜粋)>
楽しい授業、研修、貴重なお話をありがとうございました。
6年生が楽し気に西野ワールドに引き込まれて楽しそうに歌っているのがうれしかったです。

<終わりに、YouTubeアップについて>
この内容、YouTubeにフリートークでアップしようと書き始めた原稿でした。でも、ブログで十分な気がしてきましたので今のところYouTubeはやめておきます。ただし、明日になったら気が変わって、いつの間にかYouTubeにアップしているかもしれません。










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