以下は、noteのトップに出てくる自己紹介記事として書いたものの転載です。訳詩をしているということに的を絞って自己紹介してみました。
「日本語で外国オペラ・歌曲を歌うことについて」
私はいわゆるクラシック音楽を幼い頃から勉強し、音楽大学に入り・・・というルートで歩んできました。専門は「声楽」。音楽大学在学中は主としてイタリア音楽を、卒業してからは、たまたまお世話になることになった佐伯真弥子先生からフランス音楽をご指導いただけることになり、フランスものの声楽曲に多くの時間を費やしました。さらに福光声楽サマーセミナーに参加したことをきっかけに「日本歌曲」の世界に入り、現在の師匠である関定子・塚田佳男各氏に師事し現在に至っています。つまり私はかなり長い間、日本人でありながら「日本歌曲」を勉強することなく過ごしてきたのです。
日本歌曲を勉強し、それらをステージで歌うようになって心から感じたのは
「わかって歌う、わかっていただいて歌えることの嬉しさ、楽しさ」
でした。もちろんそれまでに勉強してきたイタリア、フランス音楽を否定するつもりは全くありません。今でも大好きです。しかし、器楽曲との明確な違い「言葉」を伴った音楽であるのに、それを直接お伝えできないハンディキャップを外国声楽曲が抱えていることは、紛れもない事実です。
そんな私が2023年3月「八ヶ岳声楽セミナー」に参加することになった時、事務局の堀内さんから「受講曲に『詩人の恋』を提出している人がいる」とお聞きしたことから訳詩への道がスタートすることになりました。
「詩人の恋」はドイツ人のシューマン作曲。私の音楽歴の中にドイツ歌曲(ドイツリート)はほぼ含まれていません。大学の試験のためやっと3曲ほど歌ったでしょうか。それなのにこの情報を耳にした時
「『詩人の恋(全16曲)』を訳してみよう」
と突然思ったのです。未だになぜだかわかりません。ただ、こう思ったことは事実です。
「他の人のレッスンを聴講している時、全くわからないドイツ語で聞いていてもつまらない。わかって聞きたい・・・じゃあ、自分で訳せばいいかな」
そして私はそれをセミナー当日までに実行しました。しかもシューマンの作品「リーダークライス作品39(全12曲)」も。「詩人の恋」など2月27日から始めて6日間で全て訳してしまったのです。もちろんその後、何度も手直しし、関先生・塚田先生にもレッスンを受け、完成版となりました。
その後シューマン作曲「リーダークライス作品24(全9曲)」「ミルテの花(全26曲」も。そして現在158曲を訳し終えています。(ドイツ、イタリア、フランス、チェコ、アメリカの作品)
2023年11月には「詩人の恋」を、2024年7月には「リーダークライス作品24」をコンサートで全曲演奏しました。
お客様の反応は概ね良好な気がしています。ある方からは
「『詩人の恋』は1曲めしか知らなかったけれど、日本語だったので全部楽しめました」
と。さらに別の方からは次のようなメールも頂きました。
すばらしいと思いました!
「詩人の恋」の魅力が伝わってくる、そんな西野真理日本語詩による世界初演!
このような歌曲のことを全く知らない私たちにとって、何曲も続く外国の曲なんてのは、難しそう、聴いてもわからないんじゃないか、そう思ってしまい、なかなか聴く機会もなかったりするのですが、今日は、新たな音楽の扉がパーっと開けたようです!
また他の作品も聴いてみたいなと、多くの方が思われたのではないでしょうか。
ベートーヴェンはドイツ語を元に、フォーレはフランス語を元に歌曲を沢山作曲しました。それを日本語にして歌うことは音楽的な価値としてどうなのかというご批判は十分承知していますし、それらに逆らう気持ちもありません。しかし私は、外国へ行ったこともなければ、外国語を喋ることもできません。それならば批判は覚悟の上で
「日本語でそれらを歌ってみよう、そのためにそれらを自分の言葉で書いてみよう」
これが現在私が訳詩を続けている理由です。
こんな私の訳詩に興味をお持ちくださり、ご自身も日本語で歌うことを味わいたと思われる方はぜひ私の訳詩をお使いになってみてください。
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