竹取物語私的訳 2025年8月22日(金)

藤重侑宇さん作曲「竹取物語原文そのまま歌詞にして、アニソンみたいな曲を作ってみた」を練習しYouTubeアップする過程で、その文章がとても気になってきました。そこで、西野真理の勝手な解釈による訳を書くことにしました。と言っても全部ではなく、この「竹取物語原文そのまま歌詞にして、アニソンみたいな曲を作ってみた」で曲をつけられている部分までですけど。(YouTube動画を最後に貼り付けておきますので是非ご覧くださいね)

念のため書いておきますが、中学生の皆さん、テストに出たとき西野真理の訳を書いてはいけません。

<まず、30数年前の告白>
解説に入る前に一つ告白します。私は教員生活2,3年目(?)津幡中学校勤務時代に、1年間だけ国語の先生をしたことがあります。30数年前のこと。今も臨時免許状発行でこういうことはゼロではないと思いますが、相当無茶苦茶です。
先生の持ち時数キツキツの国語科へ、若干余裕のある音楽科から1人国語のサポートへということ。当時津幡中学校は1学年10クラス全30クラス。生徒数1000人を超えるマンモス校で日本の中でも上位に入る生徒数。おまけに当時は音楽の授業が各学年毎週2時間あり、そのため音楽の先生は3人。そういうわけで中途半端に音楽科は授業持ち時数に余裕があったのです。
そんな中、その時音楽科の中で一番若かった私に有無を言わさず「国語科の授業サポートで1年生を1クラス教えるように」と振られたわけです。「え~””」とか「いやです」などということを言える感じでは全くありませんでした。
あの時1年5組の担任だったK先生はとっても心配したとのちに語ってくださいました。当然です。しかし、結果論ですが私はとても楽しかったですし、その時国語のテストの平均点はいつも1年5組が1番でした(生徒には言っていません)。理由は簡単、そのクラスがたまたま優秀だったのです。
この「竹取物語」は当時から1年生の国語の教科書に載っていて教えた記憶があります。短いけれど暗唱テストも実施しました。あの時の1年5組の皆さん、今、50代じゃないかな。お元気でしょうか?

<まず原文(歌ったところまで)>
①今は昔、
②竹取の翁(おきな)といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに 使ひけり。
③名をば、さぬきの造(みやつこ)となむいひける。
④その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。
⑤怪しがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。
⑥それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
⑦翁、言ふやう、「我、朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて、知りぬ。子となり給ふべき人なめり。」とて、手にうち入れて、家へ持ちて来ぬ。
⑧妻(め)の嫗(おうな)に預けて養はす。
⑨うつくしきこと限りなし。
⑩いと幼ければ籠(こ)に入れて養ふ。

<それでは西野真理身勝手な想像と感想を含んだ現代語訳です>
 A:一般現代語訳
 B:西野真理訳

①今は昔、
A:今となっては昔のことになってしまいましたが
B:私はまさにAのように教えました。でも、なんだか違う気がします。平安時代成立らしいこの物語、当時すでに「昔話」として作られていて、
「今って昔なんだけどね~」
っていう書き出しだと私は思うのです。例えば私がSF小説を書いたとして、書き出しを
「今は未来」
って書く感じ。

竹取の翁(おきな)といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに 使ひけり。
A:竹取りの翁という人がいました。野山に入って竹を取っては、さまざまなことに使っていました。
B:竹取りじいさんと呼ばれている人がいました。そんなに山奥ではない里に近い山の近くに住んでいて、野山に入って竹を取って、それを炭にしたり、竹かごを作ったり、時にはタケノコを食べたりといろんなことに使っていました。
ただ、「竹で作ったものを町で売ったりしたのか?」ということは書かれていません。でも、現金収入は必要だし、炭を売ったり竹かごを売ったりタケノコを売ったりもしたんじゃないかなと思います。

③名をば、さぬきの造(みやつこ)となむいひける。
A:名前をさぬきの造と言いました。
B:名前は「さぬきのみやつこ」です。讃岐(さぬき)という四国のようですが奈良の飛鳥地方です。また、「さぬき」ではなく「さるき」「さかき」造(みやつこ)と表記する本もあります。単純に名前だと考えてそのままでいいです。ただ
https://bonjin-ultra.com/take1.htmによると、
「宮つ子」は宮仕えする人で、飛鳥地方の里山の管理を任されていた人の役職名かもしれません。
と書かれていました。

④その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。
A:その竹の中に、根元が光る竹がひとつありました。
B:(ある日いつものように山へ入ると)←とは書いてありませんが、こういうことでしょうしこう書いておいた方が親切かなと思います。あとはAと同じです。

⑤怪しがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。
A:不思議に思って、近寄ってみると、竹筒の中が光っています。
B:恐る恐る近づいてみると、竹の中が光っています。

⑥それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
A:それを見ると、三寸ぐらいの人が、とてもかわいらしい様子で座っています。
B:これ、竹を切ってみないとわかりませんね。筒の上が開いた状態の中にいたのならいいのですが。ですから西野真理としては・・・・
竹の中が光っていたのでどうしてかなと思って竹を切ってみると、中に10cm弱の人の形をした赤ちゃん?っぽいものがかわいい感じで座っています。でも生まれたばかりの赤ちゃんだったら首が座っていませんから、このように座っているということは、小さいとはいえ生後最低4か月くらい経っているはずです。しかも「光っている」のです。これどうしましょう?もう、地球上のなにかではないものですね。何かしら発光する性質をもった生物です。

⑦翁、言ふやう、「我、朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて、知りぬ。子となり給ふべき人なめり。」とて、手にうち入れて、家へ持ちて来ぬ。
A:翁が言うには「私が毎朝毎晩見る竹の中にいらっしゃったかわかった。きっと私の子どもになるべき人に違いない」と思って、手のひらに入れて家に持ち帰りました。
B:わざわざ「いつもここへきているからわかった」と言っているということは、実はその竹の光り方、ものすごくピカピカ光ってたわけではなく、ちょっとした変化だったのでは?おじいさんは光っていたと表現したけれど、「なんだかいつもと違う」くらいだったのかもしれません。私たちだって、有名芸能人とか見ると「オーラが違う」とか、本当は光ってるわけではないのにそう感じますからね。だから、自分だから気づいたんだよって言いたかったんじゃないでしょうか?で、「自分の子になる運命だ!」と後先考えずに、その子を手のひらで包んで家へ持ち帰りました。

⑧妻(め)の嫗(おうな)に預けて養はす。
A:翁の妻であるおばあさんに世話を頼みました。
B:ここ、突っ込みどころ満載です。仮に妻が子どもを育てたくてたまらなかった人だとしても、すでに「おばあさん(媼)」なのです。突然夫が「竹林で子ども拾ったから育てといて」なんて10cm弱のとんでもなく育てることが大変そうな子を拾ってきたら、泣きますよ!
そしてもし、特に子どもを育てたいなんて思っていなかったとしたら・・・この方が普通です。若いころならまだしも、子どもを育てようなんて気持ちは全くなくなっているようなある日、突然夫が子どもを拾ってきて「育てといて」なって言おうものなら大喧嘩間違いなし。「あなた責任取りなさいよ!」

⑨うつくしきこと限りなし。
A:かわいいこと、この上ありません。
B:同上。ただし、これは妻に預けたおじいさん目線。おじいさんはただ「かわいいな~」と思っているだけ。世話もしないくせに。おばあさん、10cm弱のこの子、どうやって育てたんでしょう。

⑩いと幼ければ籠(こ)に入れて養ふ。
A:とても小さいので、かごに入れて育てました。
B:何しろ10cm弱ですから、おじいさんの取ってきた竹で編んだ小さな籠っていうかザルみたいなものをベビーベットにすればちょうどいい感じかなと(おばあさんは考えて)思い、それに入れて育てました。

<上記を踏まえて改めて全文まとめます>
今って昔なんですけどね、「竹取りじいさん」って呼ばれている人がいました。そんなに山奥ではない里に近い山の近くに住んでいて、野山に入って竹を取って、それを炭にしたり、竹かごを作ったり、時にはタケノコを食べたりといろんなことに使っていました。現金収入のために炭を売ったり竹かごを売ったりタケノコを売ったりもしたんじゃないかなと思います。
本当の名前は「さぬきのみやつこ」です。讃岐(さぬき)という四国のようですが奈良の飛鳥地方です。
ある日いつものように山へ入ると、その竹の中に、根元がなんとなく光っているように見える竹がひとつありました。恐る恐る近づいてみると、竹の中が光っているのです。
そこで思いきって竹を切ってみると、中に10cm弱の人の形をした赤ちゃん?っぽいものがかわいい感じで座っています。
たいして光っているわけではなかったけれど、いつもここへきている自分だからこそ気づいた変化。「これは運命だ!」とおじいさんは思って、手のひらに包んでその子を家へ持ち帰りました。
家へ帰ると年老いた妻に
「こんなかわいい子拾ったよ。育てといて」
と渡しました。
妻は驚くやらあきれるやら困るやら。でも身勝手な夫に何を言ったところで言うことを聞くはずもなく、かといってこの子を見殺しにすることもできず、育てることにしました。
あんまり小さいので、竹で編んだ小さなザルみたいな籠に入れて育てました。



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