諸人こぞりて「主はきませり」文法構造 2022年12月29日

ずっとずっとわからず気になり続けていた文章があります。
クリスマスになるとよく歌われる、ヘンデル作曲「諸人こぞりて」の歌詞
「主はきませり」
です。
私が「文法」と聞いて思い浮かべることのできる最高峰は、黒澤弘光先生。

<黒澤弘光 筑摩書房ホームページより>
1945年群馬県生まれ。東京教育大学文学部、同大学大学院博士課程修了。1973年東京教育大学附属高等学校(現筑波大学附属高等学校)教諭となり、2008年退職。『現代漢和辞典』(大修館書店)編纂、『広辞林』(三省堂)などの辞書や『日本名歌百選』(音楽之友社)を執筆。












↑この本の著者で、福光声楽サマーセミナー(これについては別のブログをどうぞ)のとき「詩の解釈」の講座の講師としてお世話になりました。大変気さくな先生で「なにか質問があればどうぞ」と、講座の受講生に惜しげもなく電話番号・住所を教えて下さいました。

あれからずいぶん時間が経ちましたが、お年賀状をお出ししていたことで、私は勝手に関係が細々続いていると都合よく解釈し、ついに一昨年末にお年賀状をお出しする時、そのことについて書いてみました。
するとそのお返事に質問の答えを書いてくださったので、私が独り占めするのはもったいないと思いブログに書かせていただくことにしました。

~「主はきませり」の構造について 黒澤弘光~
「来(き)」は現代語の「来る」、古語の「来(く)」の連用形です。
「ませ」は 古代から平安時代によく使われた「坐(ま)す」(「いらっしゃる」という意味の動詞ー「あり」ーの尊敬形)から派生した尊敬の補助動詞の已然形(~なされる、お~になる、の意)で、「り」は完了・存続の助動詞。これを訳すと「おいでになった、いらっしゃった」の意で、つまり「主はこの世においでになった(降臨された)」となります。

黒澤先生、ありがとうございました。


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