ソロピアニストと伴奏(アンサンブル)ピアニスト 2024年10月30日(水)

<はじめに>
前からこのことを書いておきたいと思っていました。ソロピアニストと伴奏(アンサンブル)ピアニストについてのことと、それに関する私自身の体験。
それからこのブログは主に音楽関係者以外の方向け。ですから、音楽関係者の方がお読みになると余計な説明が多くて読むのが面倒かも。ごめんなさい。

<私のピアノ技能>
私はピアノがあまり得意ではありません。でももちろん中学校の授業で生徒が歌う合唱曲の伴奏等はなんとかこなしていました。しかし、得意ではないと言いつつ、YouTubeには小・中学校の教科書掲載曲や合唱曲の伴奏音源をかなりの数アップしています。それは、私よりさらにピアノの不得意な先生や、家で歌のテストや合唱コンクールのために練習したい小・中学生の皆さんが、
「この程度のピアノでもないよりまし!」
とお使いくださることもあると思ったからです。その予想は的中し、現在私のYouTubeチャンネルで最も再生回数が多いのは「朝の風に」という曲の伴奏です。(2024年10月30日現在31687再生)

<ソロと伴奏>
今これをお読みの音楽関係者ではない皆様、ソロピアノがバリバリ弾ければ伴奏(アンサンブル)も当然簡単に弾けるとお思いではありませんか?
とんでもない。
今回はそんな事に関するお話です。

<異動>
さて、これからのお話は西野真理の自慢話のように感じる方もいらっしゃるかもしれません・・・10%位は自慢ですがご勘弁を。

ある中学校からの異動が決まりました。そんな時、音楽の先生ならではの義務(だと私が思っていること)
1つ目
・次の学校の校歌を赴任までに歌えるようにしておくことと、校歌の伴奏を赴任までに弾けるようにしておくこと
2つ目
・私のいなくなった学校の新任式のために、誰か生徒に校歌の伴奏を弾いてくれるよう頼んでおくこと

異動が決まり公になるとすぐ、私は校内でも一番ピアノの上手い生徒を呼び、
「私のいなくなった新任式の時、『校歌紹介』という時間があるから、その時伴奏弾いて。その前に練習もあると思うからそれもお願いね」
頭も良く性格も良くピアノも抜群にうまいAさんは、気持ちよくその役を引き受けてくれました。

<前任校同僚との会話>
新年度が始まりしばらくしたある日、前任校の同僚となんだか忘れましたが電話で話しをしました。要件が終わり雑談になった時、その同僚がこんな話をしてくれました。

新任式の校歌練習の時、西野先生がピアノを頼んでくれたAさんに弾いてもらったんですけど、生徒の歌とやってもやっても合わないんですよ。本番もあんまり合わなくて。みんなと『西野先生ピアノうまかったんだね』って話してたんです。

あ〜、私も迂闊だったと反省しました。Aさんに伴奏の仕方をもっと早くにちゃんと教えておくべきだったのです。でもつい、私よりはるかに難しい曲をいくらでも弾けるAさんに対して、ソロピアノと伴奏のピアノは違うものだということを言うことなど、すっかり頭から抜けていました。

<プロ伴奏ピアニスト>
ピアノの技能として上手くご説明出来ませんが、歌い手の立場で書くと、伴奏ピアニストにはまず
・歌い手と一緒に息をして欲しい
・歌い手が息をする時間、次のフレーズに行く時間、おそらく1秒にも満たない場面で、正確なリズムを刻むだけではない間を感じて欲しい
そして
・歌い手がモタモタしていたら少し引っ張り、逆なら戻す
・調子が悪そうなら音量を少し控えたり、もっと声を出したほうが良さそうなら敢えて強めに弾いて煽ってみる

全部を文章にはできませんが、幸い私がこれまでご一緒させていただいた多くのピアニストは、ソロピアノの技能を十分持った上で、伴奏を専門にしようと努力を続けて来られた方がほとんど。わざわざ私が
「こうしてください」
と言うことなく音楽を作ってくださって、今日まで私はとても楽にコンサートでもコンクールでも歌うことができました。
それくらい伴奏ピアノを弾くことはプロの技なのです。

お読みくださった音楽関係者以外の皆様、いかがでしょう?ソロピアニストと伴奏ピアニストのことが少しでもおわかりいだけたら嬉しいです。









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