83歳初参加Tさんと、開催時間の変更 2023年4月24日(月)

昨日のSing幾多郎、久しぶりに初参加の方がいらっしゃいました。
Tさん、83歳です。
Tさんはもう30年前からのお知り合い・・・どころか、声楽関係者、武蔵野音楽大学声楽科ご出身の方です。

31歳で私が福光声楽サマーセミナーに初参加したとき、その駐車場でお会いしたのが最初。
当時の車のナンバープレートは二人共「石川」。そのセミナーにはほとんどの方が宿泊で参加されるのに、この会場まで1時間以内で来ることのできる私やTさんは、8日間のセミナーを通いでの参加。駐車場ですぐお互いにそのことを察して話も弾み、さらに二人は同じ先生のグループであることもわかって交流も深まりました。

その後Tさんも私も新たな先生に師事したりコンサート活動をしたりお互いのコンサートを聞いたりと、緩やかに交流は続きました。

時は流れ、私は61歳、Tさんは83歳になられました。
そんなTさん、詳細は存じ上げないのですが、この1年以内に膝の手術をされ、歌もあまりお歌いにならない状況でいらした中、
「リハビリも兼ねてSing幾多郎に行ってみよう」
と思ってくださり、4月22日(土)私にお電話をくださいました。
電話でお話を聞きながら、私は
「いくらリハビリとはいえ、大学の後輩であり、ご自身もきちんとお勉強されてきたにも関わらず歌を教えて欲しいなんて・・・」
でも、私はその言葉をぐっとこらえました。そんなこと御本人はとっくにお考えになった上でのお電話なのですから、それを言ってしまったらかえって失礼です。

「行ってみたいけど、電車に乗れるかしら・・・駅から会場まで歩けるかしら・・・私でもご一緒に歌えるかしら・・・」
色々不安を口にされる中、私はパソコンの前に座ってあれこれ検索しながら、こうご提案しました。
「明日は晴です。電車も9時4分宇野気駅着があります。Tさん、せっかくですから明日いらっしゃいませんか?駅まで道順のご案内がてらお散歩がてらお迎えに伺います」

電話を終えた後、私はある思いつきを実行することにしました。
Sing幾多郎開始時間を10時から9時30分への変更するのです。

会場の本町コミュニティセンターは9時からお借りしていているのですが、すっかり慣れてきた現在、9時から10時までの1時間をやや持て余していました。そこでもう30分早くしたいと思いながらも、それほど困っているわけでもないので惰性で現在まで来ていました。
ところがこの度のTさんの参加によって、
・Tさんの電車は9時4分に到着。ゆっくり歩いても9時15分には会場に到着。10時までの開始時間を持て余してしまう。
・10時50分に終わると、お帰りに使える電車は11時40分。またまた時間を持て余してしまう。
しかし、もし開始を9時30分にすると、全てが解決。
・宇野気着9時4分の電車・・・9時30分の開始にピッタリ
・宇野気発10時45分の電車・・・10時20分に終わればちょうどいい
・私の中で、開始時間を変更する理由ができる

思いついたら行動。ブログにその旨投稿し、今までご参加くださった方にメールやラインでお知らせしました。

4月23日(日)
宇野気駅西口にTさんをお迎えに行きました。
電車が到着しました。
???Tさんは?
もしかすると朝になって体調を崩されたのかも・・・
体調の悪い中お電話すると大変だから明日にでもお電話してみましょう・・・と会場まで戻っていると、Tさんからお電話が。
Tさん、東口に出られていたのです。
小さな宇野気駅、Tさんは降りたホーム側に出口があることにお気づきにならなかったのでしょう(西側は無人で通路があるだけ)。もっとちゃんとご説明すればよかったと反省しました。
しかし、このことで私に安心材料ができました。宇野気駅にエレベーターはないので、東口へは階段の昇降が必要ですが、Tさんはそれがお出来になるくらいの膝の状態だということですから。

宇野気駅へ戻り、Tさんに道案内をしつつ思い出話をしながら会場へ向かいました。
向かう途中よくご参加くださるSさんとも合流。
久しぶりの複数でのSing幾多郎開催となりました。
Tさん、始めは
「今日は見学するつもりで来たので・・・」
と、やや消極的な雰囲気でしたが、元々お歌いになれる方ですので次第に声も出始め、50分後にはかなりの高音まで出されていました。はじめは前かがみだった姿勢も、どんどんまっすぐになっていきました。

この日のことで私が一番考えさせられたのは「謙虚な気持ちの大切さ」ということです。
私が80歳を過ぎて、何らかのことでしばらく歌を休んでしまって復帰しようと思ったとき、自分の後輩に頭を下げてお金を払って教えを請うなんてことができるでしょうか?
昨日Tさんは50分の間にどんどん元気になっていかれましたが、それは私の教え方がどうとかではなく、彼女に謙虚な気持ちがあって、わざわざ宇野気までいらして教えを請うという選択をされたからです。
もし自分にそんな日が訪れたら、Tさんのような行動ができるようにしたいなあと思った日でした。








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