伊福部昭「サハリン島先住民の3つの揺籃歌」その10  当日 2024年9月14日(土)

2024年9月12日(木)
<「田舎のバス」暗譜>
5時前に目が覚めました。伊福部昭の緊張ではなく「田舎のバス」の不安です。
ホテルの狭い部屋の中、小さな声で歌い続けました。

<会場へ>
ちょっと早いですが、ホテルを11時過ぎに出発。
暑い!
こんなに暑くなければ、JR御茶ノ水駅から飯田橋駅まで電車。そのあと飯田橋駅から音楽の友ホールまで大好きな神楽坂の上り坂を元気にブラブラ歩きます。でも今日は無理。なんとかしなくては・・・タクシーなんて贅沢はできません・・・遠回りでも地下鉄。
東西線の「神楽坂駅」で降りれば、音楽の友ホールは出口からすぐ。
そこで!
地下鉄新御茶ノ水駅→(千代田線)大手町→(東西線)神楽坂
とっても遠回りですし、地下鉄の中だって相当歩きました。でも直射日光無し。冷房もまあまああり。
かなり早くに会場につくと、すでにスタッフの皆さんは準備を始めてくださっていました。
時間がたっぷりあったおかげで、堀内さんと楽しいおしゃべりタイム。

<食事>
いつも困るのが食事。
レストランでゆっくりという気分にはならないし、何を食べたらいいのか迷います。
とりあえず近所の和菓子屋さんで麩饅頭。そしてファミリーマートのおにぎりを購入。
開始1時間半前に冷房で体が冷えてしまったらしい塚田先生から
「おそばでも食べに行かない?」
と誘われましたが、流石にないですね。

麩饅頭を食べたあと、今回「田舎のバス」で共演のピアニスト・小原孝さん差し入れの虎屋の羊羹と、ソプラノ歌手・鷹野恵さん差し入れの果物を食べて本番のエネルギーにしました。結局ファミマのおにぎりは就寝前にホテルで食べることに。

<関先生の愛情>
関先生は歌手であり私の師匠でありこのコンサートの監修者です。監修者ということでこのコンサートには必ずいらっしゃるのですが、今回に限り名古屋で別のお仕事があるため、おいでにならないと事前に先生ご自身からお伺いしていました。
ところが今朝ラインを頂いて
「今日は行けることになりました。頑張ってね」
良かった。
会場で先生をお迎えした時
「先生、私のためにありがとうございました」
↑半分冗談のつもり。
「まあ、そんなもんだね」
↑これ、多分冗談ではありません。私のためにわざわざ予定を変更してくださったのです。

<リハーサル>
他の方は皆さん普段着でリハーサル。でも私はドレスでのリハーサルを関先生にも見ていただきたかったこともあって、本番の衣装で臨みました。
結論。
このブログのメインである「伊福部昭作品」は暗譜も完璧。特に問題なし。
一方昨日急に決まった「田舎のバス」は、歌詞は落ちる、音程も間違える、セリフは飛ぶの大惨事
誰も何もおっしゃいませんでしたが、皆さん
「かわいそう~」
と思われていたことでしょう。ピアノ担当の小原さんなど、本番でぐちゃぐちゃになったときのフォローの仕方を密かに考えていらしたのではと想像しています。

このあと関先生から「田舎のバス」のリズムを少し直していただきました。というのは、私は楽譜に書かれているものを忠実に歌っていましたが、大衆音楽として歌われているものは少々違っていたのです。先生はそれをご存じだった、つまり他のお客様もそちらで覚えていらっしゃるということ。
実は楽譜に書いてあるリズムに違和感があったので、先生に直していただいたおかげで、とても歌いやすくなりました。

その後本番までひたすら「田舎のバス」を暗譜。
伊福部?どこかへ飛んでいきました。

↓リハーサル後に撮影(原田圭さんから頂いたお写真)
上段左から(敬称略)
原田 西野 小原 清水
金森 塚田 瀬山 関 亀田












<本番>
「田舎のバス」奇跡の成功。お陰で伊福部昭緊張なし。このブログ、伊福部昭の「サハリン島先住民の3つの揺籃歌」という題で進めてきたのに、これだけとは。
う~ん、せっかくだから何か思い出して書こうかな・・・。ありました。
1曲目の「ブールー ブールー」。前日合わせの時、塚田先生が最初かなり遅めのテンポで演奏されたので
「先生、これくらいゆっくりですか?」
「早くてもいいよ。やりたいテンポで進めてくれたらついていくから」
ということでもう一度早めで合わせて
「じゃあ、このテンポで」
ってなったんですけど、結局最初に戻りました。
でも、ゆったりした感じは先生の音楽性そのものでしたし、子守唄っぽさが出て良かったと思います。
「プロには逆らわない」
を心に留めている私としては、好判断でした。

そうそう、もう一つ。
1曲目は前奏なしの歌からスタート。
普通こういう場合はピアノでポンと音を出してもらって音取りして入ります。ところが前日塚田先生から
「最初の音出さないから、音取って入ってきて」
そこで私は、スマホのキーボードアプリで音取りして入るつもりでいました。しかし楽屋は壁一枚隔てただけ。たまたま音取りしている時着信があったら会場に丸聞こえ。断念。

さて、この日私は他の方の歌われる曲を楽譜を見ながら聞きたくて伊福部昭の楽譜を持参していました。
リハーサルのとき、私の前に歌われる清水さんの歌(「ギリヤーク族の古き吟誦歌」)を楽譜を見ながら聞いていると、ものすごい発見が!清水さんの4曲目の終わりの音が、私の始まりの音「ソのシャープ」。これで大丈夫。

コンサート終了後、私の(勝手に決めた)文章の師匠・倉島さんの奥様からそのことについてご質問をいただきました。音楽通って感じのご質問で驚きました。

<共演者ご紹介>
向かって左から(敬称略)
塚田 小原 亀田 金森 西野 原田 清水










亀田眞由美さん
20年以上前に富山県福光町で開催されたオペラ「魔笛」の時の「夜の女王」。その時も素晴らしかったのはもちろん、今回はそれ以上。4曲すべてアカペラ、高音域の難曲を見事にお歌いになり、感動しました。しかもひ孫までいらっしゃる!日本の宝。後世に残さなくてはなりません。

金森静子さん
80歳!やわらかな音色と楽屋でもステージでも平常心という感じのご様子に、歌にも人間性にも癒やされます。

清水良一さん
最も共演回数の多い方のような気がします。紀尾井ホールでの関先生とのオペラにも数多く出演されていることもあり、とても良くお会いしている気持ちになっています。オペラではシリアスなものからコミカルなものまで何でも来い。日本歌曲では低音から高音まで自在な発声とクリアな発音で、文句なし。
今回は特に、西野真理の「田舎のバス」に「牛」で登場し、日本一の「モゥ~」と反芻の演技。私が奇跡的に「田舎のバス」を歌えたのは清水さんのおかげかもしれません。











原田圭さん











初共演は富山県高岡市で10年以上前。次にお会いしたのが金沢でオペラ「夕鶴」に出演され、それを拝見した時。それ以降一度もお会いしていないのですが、なんとなくご連絡を取り続けていて、今回ついに音楽の友ホールでの共演となりました。
あの「夕鶴」のときは広い会場で言葉が本当によくわかり、バリトンだけれども高音も美しく感動しました。
今回の「知床半島の漁夫の歌」ピッタリ。ノーミス。持ち歌にされるといいと思いました。

塚田佳男先生(ピアニスト・解説)
ピアノは言うまでもなく、今回の解説は抜群。そもそもこの解説がなければ今回のプログラム、ちょっと聞けないかも。

小原孝さん(ピアニスト・ソロも)
クラシック界きっての人気者でありながら、気取ったところもなく、やさしく、本当にいい人。臨機応変な対応力は歌い手にとって神様。
小原さんに関しては別件で今後ブログに書かせていただきそうです。お楽しみに。

関先生とそのすぐ横に小さく堀内さんと、母の奇跡の3ショット
 ↓娘   ↓母       ↓堀内さん・関先生



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