<YouTube積読チャンネルから 本の紹介 『資本主義が人類最高の発明である>
著者:ヨハン ノルベリ 著, 山形 浩生 訳
「資本主義が人類最高の発明である」~グローバル化と自由市場が私たちを救う理由
そもそもこの本の推薦者、本の表紙に大きく名前が載っている人、どなただと思いますか?イーロンマスクです。この時点でなんだかすごそうです。
またこの本を日本語に訳された、山形 浩生さんも相当面白い方で、この人について書いた本があれば読んでみたいですし、ここで紹介したいくらいですけれど、話がそれてしまうので我慢。
・・・という、本の内容に入る前にすでにかなり面白そうな本です。
このYouTube動画は、積読チャンネルの堀本さんが、書籍『資本主義が人類最高の発明である 』を基に、資本主義に対する主要な批判を徹底的に論破していく、いわば「資本主義の弁護」をしていきます。もう一人のパーソナリティー飯田さんは反対派役で、次第に堀元さんに論破されていくという形で進められます。論破する場合は「資本主義の限界」論に対し、きちんとデータと事例を用いて反証して、
「資本主義こそが人類史上最高のシステムである」
ことを説き明かします。
私は資本主義について詳しく考えたこともありませんでしたが、世間で言われる「格差」とか「発展途上国からの搾取」のような言葉はなんとなく耳に入っていました。そしてイメージだけでそのまま受け取っている部分もあったかと思います。しかしこの本をもとにしたこのYouTubeでは、それらをすっきり論破していきます。
この本の著者は
「資本主義は格差を拡大し、世界を破壊する」
という一般的な批判を「全て嘘」と言い切ります。
それを証明するためのデータも用意されています。そして
資本主義への四つの主要な批判—「格差」「発展途上国の搾取」「人を邪悪にする」「環境破壊」—を順に論破していきます。
それでは順にご紹介します。
1. 格差論への反論:問題は「貧困」であり「分配」ではない
資本主義への最も大きな批判である「格差」について、著者は「格差は存在するが、問題ではない」と主張します。
富の分配の無意味性
よく言われる
「大金持ちの富を世界に分配すれば皆が幸せになる」
という考えに対し、データで反証します。
世界トップ1%が富の半分以上を独占しているとしても、その富を全地球人口に分配しても、生涯でわずか27万円にしかならず、貧困を解決するには程遠い額です。
さらに、分配によって富裕層の人たちがイノベーションを起こさなくなれば、世界全体の富が減少する結果を招き、最終的には貧しい人々への分配もされなくなると警鐘を鳴らします。
「ケーキ」の比喩と幸福度の決定要因
著者は
「本当に問題なのは、ケーキをどう切り分けるかではなく、ケーキを大きくできるかどうか」
であると結論づけます。
118カ国を対象とした40年にわたる調査結果は、最貧層の幸福度は、再分配の割合ではなく、その国の平均所得によって決定されることを示しています。つまり、国全体が豊かになることこそが、貧しい人々を救う唯一の道であり、その豊かな国を生み出すのが資本主義であるという論理です。
これは会社経営における「売上は全てを癒す」という格言にも通じる、シンプルな真実だと述べています。
2. 発展途上国搾取論への反論:極貧率の劇的な低下
「先進国の巨大企業が、発展途上国で低賃金労働をさせて搾取している」という批判にも、データで反論します。
インフラ整備と経済成長の加速
※インフラとは、「infra(下部)」+「structure(構造)」などの意味を持つ英単語「infrastructure(インフラストラクチャー)」の略。「社会や産業の基盤」を指し、日常生活や経済活動を支えるために不可欠な施設やサービスの総称です。具体的には、道路・鉄道・空港などの交通インフラ、電気・ガス・水道などのライフライン、通信ネットワーク、学校、病院などが含まれます。
途上国に工場を建設する際、企業は道路などのインフラ整備も同時に行います。これは、企業が利益を上げるためとはいえ、結果的に途上国のインフラ水準を底上げし、経済発展の基盤となります。
実際、企業のグローバル化が進んでいなかった1960年代には途上国は発展しませんでしたが、企業誘致が進んだ2000年代以降は、中所得国の方がアメリカよりもはるかに速いペースで成長しています。資本主義のグローバル化は、先進国と途上国の賃金格差をテコに、富を世界規模で平均化させる「再分配」のメカニズムとして機能しているのです。
人類史上最速で進む貧困の克服
その結果として、「世界の極貧率」(生きるのにも事欠く貧しさ)は劇的に低下しています。2000年には29.1%だったものが、2022年には8.4%まで減少。著者は「30年の間に資本主義は、それ以前の3000年を合わせたよりも人間の生活条件を大幅に改善させた」と述べており、人類が今、資本主義のおかげで過去にない速度で幸せになっているという事実を強調します。
実際、
「高所得者が多いエリアに住んでいる低所得者は、普通に低所得者が住んでいるエリアに住んでいる低所得者より幸福度が高い」
というデータがあります。
確かに相対的に格差を感じてみじめになるということはあるでしょう。しかし、豊かな街の方が治安もよく品質の高いものも販売されています。かつ、健康的生活を誘発する住環境が整っています。
3. 邪悪化論への反論:資本主義は人を「善良」にする
という批判に対し、著者は
「邪悪なのは人間であり、むしろ資本主義はそれを抑え込む」
と主張します。
計画経済によるさらなる邪悪化
社会主義や計画経済は、市場原理が働かないため、汚職や腐敗、非効率な経済活動が蔓延しやすいことを、アルゼンチンのトラック輸入事例や南アフリカの国営企業の崩壊事例を通じて示します。
アルゼンチンのトラック輸入の例というのは、アルゼンチン政府が海外製のトラックに高額な関税をかけ、事実上の海外製のトラック輸入ができなくなりました。そこでアルゼンチンではトラックを国に入れる国境前でいったん解体して、部品を持ち込んで再度組み立てるということが行われ、そのために高額で粗悪なトラックがアルゼンチン国内で走るようになったというものです。
「資本主義の方がましですよ」
という考え方です。
市場の圧力による倫理の強制
一方で資本主義は、
「価値を産まない者は淘汰される」
という市場の圧力により、人を善良にします。堀本さんは、会社員やフリーランスは約束を守らなければ仕事がなくなるという個人的な体験から、資本主義が人を律する仕組みであることを指摘します。
飯田さんもウーバーイーツでアルバイトしていた時、ウーバーイーツではお客様から評価されるので、とても愛想よく笑顔で配達していたという例を話します。
その最も象徴的な事例として、アメリカ南部で人種差別法である「ジム・クロウ法」に反対し、黒人の乗車を擁護したのは、バス会社であったことが紹介されます。
彼らは
「正義感」
ではなく、
「お客が減る」
という純粋な資本主義的な理由から差別と戦い続け、結果的に倫理的な行動を取ったのです。これは、資本主義が道徳や正義感に頼らずに社会を良くする力を持つことを示しています。
さらに、図書館で最も盗まれる本の研究が紹介されます。一番盗まれる本を盗んでいた分野が一番倫理観がなさそうです。結果、最も盗まれていたのは「道徳・哲学」であるという皮肉な研究結果。邪悪さは人間の本性であり、システムではないと強調します。
4. 環境破壊論への反論:豊かさが技術革新を加速する
「資本主義は環境破壊を引き起こす」という、現代で最も大きな批判に対しても、著者は「豊かになれば地球は良くなる」という論理で対抗します。
環境問題は「貧しさ」が原因
おそらく、ウミガメがプラスチックを食べて死んでしまった海洋プラスチック問題を聞いたことがおありでしょう。しかし、先進国ではプラスチックはきちんと焼却処分されています。海洋プラスチック問題の多くは、フィリピンなどの貧しい国が、ゴミ焼却施設を持たないために雑に埋め立てられたプラスチックが海に流出していることが原因であり、これは「貧しさ」が引き起こした問題です。国が豊かになることで、環境対策に投資する余裕が生まれ、問題は解決に向かいます。
テクノロジーは「正義感」ではなく「価格」で動く
さらに、環境問題の解決には「正義感」ではなく、「技術」が必要であり、それを動かすのが資本主義の競争原理だと主張します。アフガニスタンの違法ケシ畑(反社会的勢力)で、太陽光発電のポンプが使われているのは、正義感ではなく、それが最も安いからです。これにより、環境保護の意識とは無関係に、クリーンエネルギーへの移行が進んでいます。
ただ、この点に関してこの著者は、豊かになりさえすればいいとまでは言わず、慎重な物言いをしています。
また、人類が直面していた最も深刻な環境問題の一つである
「室内での固形燃料燃焼による呼吸器疾患」
で死亡する人が、電気ストーブの普及など資本主義による豊かさによって世界中でほぼ克服されつつあることにも触れ、資本主義が既に多くの環境問題を解決してきた事実を提示します。過去のオゾン層破壊問題がフロンガス代替技術の登場で解決した事例も、この主張を裏付けます。
<【結論】資本主義は「人々の統制下」に資本家を置く>
動画は、資本主義が「民主主義」にそっくりなシステムであると結論づけます。社会主義が独裁者や権力者への「すり寄り」で勝敗が決まる「学級会」的な世界であるのに対し、資本主義は消費者の購買行動という「投票」によって、企業や資本家に価値を産むよう常にプレッシャーをかけます。
著者は「資本主義は資本家たちを人々の統制下に置く方法なのだ」という表現し、常に価値を産み続けなければ失脚するという厳しい競争原理こそが、世界を良くしていくシステムであると主張します。この競争原理があるからこそ、イーロン・マスクのような大富豪ですら働き続けざるを得ず、人類は常に問題を解決するためのモチベーションを与えられ、発展し続けることができるのです。
さらにこの本では、私たちが思いつくようなほかの論破ポイントも、ほぼそれらは網羅されているそうです。ですからぜひこの本をお読みください、ということでした。
長い動画ですが、動画の中のお二人がとても分かりやすく説明され、このお話の中で割愛した実際の例などもとても興味深いので、ぜひ積読チャンネルをご覧ください。そして、この本を実際にお読みいただけるともっと楽しいと思います。
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