2024年1月16日のFM放送でお話した内容です。
<ネット上のデマ情報について>
大きな事故や地震などの災害が発生すると、インターネット上ではメールやSNSなどで、被災状況や被災者支援のための情報など様々な情報が大量に飛び交います。しかし、こうした情報の中には真偽のわからない、いわゆるデマ情報が含まれています。
今日はこうしたデマ情報についてです。
なお、この情報は日本データ通信協会の迷惑メール相談センターのサイト、NHKWEBニュースからの情報が元になっています。
災害時は不安な状況が続き、情報が錯綜しデマや誤った情報が拡散しやすくなります。根拠があやしい情報のメールやメッセージを受信しても、未確認の情報はむやみに拡散せず、一旦自分の中で保留して、デマかもしれない情報の拡散に加担しないよう注意しましょう。
2016年4月熊本でも大きな地震があり、地震直後からSNS上では、「動物園からライオンが放たれた」「○時間以内に大きな地震がまた来る」などの悪質なデマが書き込まれ拡散しました。ライオンに関するデマでは、動物園の職員が問い合わせ対応に追われたということです。ライオンに関するデマ投稿者は、後日、偽計業務妨害の疑いで逮捕されることになりました。
災害発生時においては、人々は、不安な状況が続く中、少しでも役に立つ情報を得ようとします。そして、「役に立ちそうな情報」を見つけると、「みんなに伝えるべき情報」と考え、情報の信頼度にかかわらず、友人や知人へ伝えようとします。
災害時のこうした拡散しやすい状況と便利なツールが重なり、災害後にデマが広がりやすくなっていきます。
<NHK NEWS WEB からの情報>
今回の能登半島地震でも「デマ」や「フェイク」情報が拡散されました。
実は、広がりやすい情報には、災害からの時間経過ごとに「パターン」があることが分かっています。
災害時に発生しやすい流言の“パターン”とは?
兵庫県立大学の木村玲欧教授らのグループは東日本大震災や熊本地震など過去に起きた18の災害で実際に出てきた453の流言(デマ・根拠のない情報など)を分析。
災害時に発生しやすい流言の「パターン」についてまとめています。
1.発生直後~被害確認時
これまでの災害では、発生直後には「災害がまた来る」という根拠のない情報が非常に多くなっていました。
「●月に再び震度●の揺れがやってくる」とか「●●(場所)で水蒸気爆発が起きる」といったもので、4割と最も多くを占めました。
「災害の原因を憶測する情報」も広まりやすい傾向がみられました。
そして、被害情報が入ってくるようになると今度は、「事実ではない被害情報」や「2次被害」に関する情報が広がり、3割に達しました。
今回の地震でも、“人工地震が原因”とあおる根拠のない情報や、偽の「救助要請」、それに「外国系窃盗団が能登半島に集結」といった偽情報がSNSで広く拡散しました。
2.災害対応時
さらに時間がたち、救助や支援などの対応が始まると、「政治家・著名人の発言・行動」や「公的機関による支援」に関わる根拠のない情報が拡散する傾向にあったといいます。
例えば、「●●(政治家)が●●という発言をしたそうで、資質に欠けている」とか、「物資の投下がなされるようだ」といった情報です。
木村教授は、このような情報に接した際は、真偽を慎重に確認してほしいとしています。
3.復旧・復興時
さらに復旧・復興が進んでいくと、今度は「被災地での生活」などに関する根拠のない情報が広がりやすいといいます。
「あす●●(場所)にいけば何でももらい放題だ」といった物資の配給に関するものや、「病院に行っても手当てしてもらえない」「国道の代替ルートが開通した」などの施設利用に関するもの、それに「避難所を出たら仮設住居への入居資格がなくなる」といった内容です。
木村教授によりますと、デマなどの流言は、「不安」などの感情が多くの人に共有される中で広がりやすくなります。
このため、多くの人が不安に思う「被災地での生活」に関する根拠のない情報が広まりやすい状態が、これからしばらくの間、続くと考えられるとしています。
広げないためには、私たち一人ひとりが慎重に情報を見極め、安易に拡散しないことが大切だと木村教授は指摘しています。
4.心構え
大きな災害時には根拠のないうわさや誤情報が必ず広がると認識してください。そして、不安な気持ちになっても落ち着いて、冷静な目で情報を見るようにしてください。
そしてもし、真偽の分からない情報に接したら。
公的機関など、信頼できる発信元から出た情報か確認し、安易に拡散しないようにしましょう。
被災者のために知らせてあげようという“善意”の拡散が、かえって不安を広げることにならないように。みんなで協力して、地震災害を乗り越えていければと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿