民生委員について 2025年9月2日(火)

今日はちょっと真面目に、民生委員のことについて書きます。これは自分自身の覚書であり、ブログ用であり、FMかほくの原稿(本日202592日 10時生放送 放送前にお読みになる方があるかも)でもありと、西野真理にとってお得な文章です。

 <民生委員について書くきっかけ>
それは町内の「ふくし会」の会議に参加したこと。この会議は町会長・副会長・民生委員・防災士で構成されています。防災士資格を取得した私は自動的にメンバーになったのです。
そこでは町内でお困りになっているかもしれない方の情報交換が行われ、それもひとしきり済んだところで出てきた話題が
「民生委員になる人がいなくて困っている」
ということでした。
これについては私も少々反省するところ。実は先日私にも「民生委員に」というお声掛けをいただき、きっぱりお断りしたからです。お断りの理由は
・民生委員はとても大変な仕事
・お引き受けするのは、地元の名士とか、人間的にできた方とかそういう人で、私には務まらない
と思っていたから。
結論から言えば、私は民生委員のことを何も知らないのに、民生委員をイメージだけでこんな風に思い込んでいたのです。そしてそれは私だけではなかったのです。
 
その思い込みを払拭する意見が、ふくし会メンバーの現民生委員、元民生委員の方から力を込めて語られ、私も今まで思い込んでいたのだということを知ることになりました。
 
そこで改めて、民生委員について調べてみました。出典はウィキペディア・生成AIジェミニ・生成AIグロックで、それを西野真理が少しかみ砕いた形で書いていきます。
 
<民生委員の歴史>
簡単に言うと
日本の民生委員の歴史は、明治時代の済世(さいせい)顧問制度をもとに、大正時代に方面(ほうめん)委員制度へと発展しました。その後、戦後の混乱期を経て、現在の民生委員制度が確立されました。
 
もう少し詳しい歴史。
 
1. 済世顧問制度(大正6年)
 
1917年(大正6年)、岡山県で済世顧問制度が創設されました。これは、地域の篤志家が生活困窮者の状況を調査し、行政に報告する仕組みでした。これが、日本における民間協力による福祉活動の最初の組織的な試みとされています。
 
※篤志家(とくしか)とは
篤志家(とくしか)とは、公益や社会のために自発的に貢献する人、または熱心に慈善活動や奉仕活動を行う人を指します。「篤志」とは、誠実で熱心な志を意味し、特に金銭や労力を惜しまず社会福祉や文化、教育などのために尽力する人を指すことが多いです。
例えば、篤志家は以下のような活動を行うことがあります:
 
慈善団体への寄付や資金提供
ボランティア活動への積極的な参加
公共の利益のための施設やプロジェクトの支援
 
歴史的には、明治時代などに私財を投じて学校や病院を設立した人物などが「篤志家」と呼ばれた例があります。現代では、フィランソロピスト(philanthropist)に近いニュアンスを持つこともあります。
 
~ウィキペディアから~
済世顧問制度(さいせいこもんせいど)は、地域の生活困窮者の相談にのる防貧制度。1917年(大正6年)5月、当事の岡山県知事笠井信一が県内の貧困者の実情に鑑みてドイツのエルバーフェルト市の救貧委員制度、エルバーフェルト・システム(英語版)を参考に作ったもの。
 
笠井知事が地方長官会議の場で、大正天皇から県民の生活状況について質問され、県内の貧困者の状況の実態調査を行ったことが発端となった。
 
当時、岡山県御津郡馬屋上村(現・岡山市北区三和)で、藤井静一が中心になって実践していた村づくりの活動を取り入れた。
 
今日の民生委員の先駆のようなものであるが、こちらは県内の市町村の行政単位を基本として、篤志家のような人たちを厳選して知事が「済世顧問」を委嘱し、この少数の選抜された済世顧問が貧困者の相談相手となり、精神的感化と物質上の斡旋で援助しようとしたものである。儒教道徳的な人倫性を強調するところが、日本的でまた今日の民生委員と違う点である。
 
 2. 方面(ほうめん)委員制度(大正7年
 
まずこの名前について。これは仏教の「八方円満」の思想に由来すると言われています。
1918年(大正7年)、大阪府で方面委員制度が始まりました。これは、済世顧問制度をさらに発展させたもので、方面委員が生活困窮者の調査や相談、救済活動を行うことで、地域住民の福祉向上を目指しました。この制度は、全国に広がり、後の民生委員制度の基盤となりました。

3. 民生委員制度(昭和21年)
 
第二次世界大戦後の1946年(昭和21年)、これまでの方面委員制度が民生委員制度と改称されました。これは、日本国憲法が保障する生存権の理念に基づき、すべての国民が安心して暮らせる社会を目指すためのものです。
 
その後、1948年(昭和23年)に民生委員法が制定され、民生委員は法律に基づいた公的な役割を担うことになりました。これにより、民生委員は単なるボランティアではなく、児童福祉や高齢者福祉など、多岐にわたる分野で行政と連携しながら活動するようになりました。また、児童福祉法に基づき、民生委員は児童委員も兼ねることになっています。
 
<現在の役割>
現在、民生委員は、地域住民の身近な相談相手として、高齢者や障がい者、子育て中の家庭など、様々な人々の生活を支えています。彼らは、地域社会と行政をつなぐパイプ役として、住民の困りごとを行政に伝えたり、適切な福祉サービスを紹介したりする重要な役割を担っています。
 
<活動内容>
これを細かく書き上げると、「こんなに大変なのか」というイメージがわきすぎるように思えますが、書かないわけにもいかないので書きます。
 
活動は主に以下の7に分類されます。
 
・社会調査活動: 担当区域の住民の生活状況や福祉ニーズを日常的に把握します。高齢者の一人暮らしや、子育てで悩んでいる家庭など、支援が必要な人を見つけ出すこと。
 
・相談活動: 住民からの生活上の悩みや困りごとの相談。介護、子育て、経済的な問題など。
 
・情報提供活動: 相談内容に応じて、適切な福祉制度やサービス(例:介護保険、生活保護、子育て支援サービス)に関する情報の提供。
 
・連絡通報活動: 住民が必要な支援を受けられるよう、福祉事務所や専門機関(例:地域包括支援センター、児童相談所)に連絡し、必要な対応を促すこと。
 
・調整活動: 住民のニーズに合わせて、様々なサービスやボランティア活動の利用を調整し、適切な支援が受けられるような手助けをすること。
 
・生活支援活動: 住民の生活を直接的に支援するため、見守りや声かけ、安否確認など、日常的な活動。
 
・意見具申活動: 活動を通じて得た地域の問題点や課題を行政に報告
 
<問題点>
 
・なり手不足と高齢化: 民生委員は無報酬のボランティアであり、活動にかかる負担も大きいため、なり手が不足。また、現役の民生委員も高齢化が進んでおり、後継者不足が深刻な課題。
~西野真理の意見~
ここで西野真理の意見を挟みます。この無報酬という部分。実際は活動費として数万円支払われます。しかし、この現代社会で必要であり、大事なことを任せている方に対して、「地域のためになってるんですよ、あなたも感謝されてやりがいもあるでしょう」なんて理由で、わずかな活動費で働かせようというのは、いわゆる「やりがい搾取」以外の何物でもないと感じます。

~ネット検索で出てきた範囲で活動費を書いてみます~
大阪市・東村山市 2025年現在 月額 1万円
東京(平均?)         年額 32600円
全国平均(多数)        年額 60200円

 
・活動負担の増大: 核家族化や地域のつながりの希薄化により、民生委員に求められる役割が多様化・複雑化。孤立した高齢者、子育てに悩む家庭、生活困窮者など、対応すべき問題が増え、個々の負担増大。
 
・職務範囲の曖昧さ: 「住民の生活に関する相談に応じる」という職務の性質上、活動範囲が不明確になりがち。本来の職務範囲を超えるような過度な依頼や、行政からの過大な期待により、民生委員が疲弊するケースがある。
 
・個人情報の取り扱い: 支援対象者の個人情報を扱うことが多く、守秘義務がある。しかし、情報共有の仕組みが不十分なため、行政や関係機関との連携がスムーズにいかないことや、個人情報の漏洩リスクに対する懸念がある。
 
・災害時の役割: 災害対策基本法の改正により、災害時に自力避難が困難な住民を支援する役割が民生委員に求められるようになった。しかし、危険を伴う活動であるため、安全確保と責任の所在が課題。

~西野真理の会議での発言~
・「あなたのためにもなってるんだから」という理由でただ働きをさせられる時代ではない。そういうのを「やりがい搾取」というのだという自覚が必要。
・「民生委員」というのは歴史のある大事名前。でも、その名前で若い人を募るのは難しい。私だって名刺に「民生委員」とは書きたくない。「民生委員」という名前を残しつつ、例えば「地域コンシェルジュ」のような愛称をつけてはどうか。これなら私も名刺に書きたい。
・広報活動が必要
 
<今期で退任されるSさんの言葉から>
最後に、ふくし会で語られた今期で引退されるSさんのお言葉をまとめてご紹介します。
 
民生委員と聞くと、「難しそう」「大変そう」と感じる方も多いかもしれません。
でも、実はそんなことはないんです。地域にお住まいの方々のちょっとした相談に乗ったり、専門機関との橋渡しをしたり。特別な資格や経験は必要ありません。
誰かの役に立てる喜び、そして人とのつなが   りから得られる温かさ。民生委員の活動は、地域の役に立つだけでなく、自分自身が大きく成長できる素晴らしい機会です。ほんの少しの勇気で、あなたの新しい世界が広がります。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
 

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