103歳、友さんとのお電話(「野口先生との出会い」エッセイより転載付き) 2023年2月21日(火)

ChatGPTとのチャットを終え、そろそろFMへ行こうかなと思っている時、着信に気付きました。千葉県在住の野口芳宏先生から1時間前に着信があったようです。

※野口先生との出会いはエッセイに詳しく書いていたので、最後に貼り付けておきます。(エッセイから転載ですので、その部分は文体が違います)

電話しました。
「やあ~西野さん」
野口先生は86歳ですがとてもお元気で声にも張りがあります。
「お誕生日おめでとう!」
なぜ千葉県の先生が(それも、私の小学校、中学校の恩師ではなく、42歳で出会った方です)石川県の西野真理のお誕生日なんて覚えてくださっているのでしょうか?
それは、私と野口先生のお母様のお誕生日が一緒だからです。
しかもそのお母様は103歳!
野口先生とのおしゃべりのあと、お母様の友さんとも電話でお話しました。
感覚的には80歳くらいの人とお話しているというほどお元気です。
多分今日かほく市で103歳の人とおしゃべりしたのは私だけです。

<野口先生との出会い>
2004年9月、42歳が野口先生との初対面。
何の下知識もなく、京都へ公費で行けるというだけの理由、しかも野口先生のことさえ知らずに参加した京都教育大学付属小学校の研究大会で、私は野口先生の授業を拝見して衝撃を受けた。
その衝撃を受けた授業が以下「手品師」。

「手品師」あらすじ
一人の売れない手品師がいる。大舞台を夢見ているがとてもかないそうにない。ある日町を歩いているとき一人の不幸な少年にあう。手品を見せてやると大変喜び、明日も見せてやると約束し別れた。その日の夜手品師の友人から電話があり「病気の手品師のかわりに舞台に立たないか」と言われる。しかし、手品師は「大事な約束があるから」とそれを断り、翌日約束どおり少年に手品を見せる。

この作品を元に参加者は10分の時間を与えられ感想を書き始めた。
以下が机間巡視をする野口先生の目に留まり、全体の前で発表することになった私の感想文である。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「手品師を読んで」           西野真理

「手品師」という道徳で使われる読み物を読んだ。レポート作文のエクササイズとして、「発、材、析、束」のある文章を書くためである。

この物語の主人公は売れない手品師。いつか大きな舞台に立ちたいと夢見ているがチャンスは来ない。
そんなある日、街角で出会った不幸な少年に手品を見せ、明日も見せると約束した。すると、その日の夜、友人から電話がかかってきて大きな舞台に立てるチャンスをもらうが、手品師はそのチャンスを捨て、少年との約束を守る方をとるという、一見美談である。

この物語の細部に見られる矛盾を私はつつこうとは思わない。大事なのはこの手品師が本当に大舞台をつとめることのできる実力を有していたか、そして、大舞台に立ってやろうという心構えができていたかということに尽きると私は考える。

世の中で様々なチャンスを狙う人達は、常にそのチャンスに備えている。そして、チャンスが来たとき、そのチャンスにとびつけるよう万全の準備と心構えをしている。
結局この手品師にはそれがなかったのだ。チャンスに手を伸ばすだけの自分の技術に対する自信がなく、そのために持つべき心構えを持っていなかったのだ。そうしてこの手品師はひっそりと「美談」の中に自分をどっぷりつけてそっと喜んでいるのであろう。
今大舞台では、別の新しい将来有望な手品師が技を披露している。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

発表を終えた私に野口先生は
「文章はすばらしい。しかし、・・・題をもう一度読んでみて」
「・・・『手品師』を読んで・・・」
「ぜんぜんダメ!!そんな題じゃダメだ。たとえば子供が感想文で『野口英世を読んで』なんて書いてきたら、それだけでその作品はダメ!切り口を見せるような題をつけなけりゃダメだ」

こう言われて私はとても嬉しくなった。もちろんほめられたことも嬉しいが、ダメな部分をきちんと指摘していただける嬉しさ・・・しかも、この日一日ですっかりファンになってしまった方から言われると、自分に向上するチャンスが与えられたようで、とても新鮮な喜びが湧き上がってきた。

・・というわけでこの作文の題名は何がいいだろう・・・
     「美談への逃亡」なんていかかがでしょう?

☆野口素麺塾☆
「野口素麺塾」?
そば打ち名人がいるように、この世には「素麺打ち名人」がいて、その第一人者が野口さん。毎年夏のはじめになると、その技を盗みに日本各地から野口素麺塾に多くの人が訪れる。
嘘です。
「野口」とは私が教育界で師と仰ぐ野口芳宏先生。
「素麺塾」とは、その野口先生のご自宅に各地から学びに集まったみんなが、お勉強のあと、そこに設置してある流し素麺セット(グルグル回るやつじゃないです。ちゃんと竹で作ってあるあれ)でお素麺を食べたり、まあ、あとは大人なので宴会になる会。

野口先生宅は千葉県君津市。
初めてこの会の存在を知った時は、
「何が楽しくて、いい大人が千葉まで行ってお素麺食べなくちゃいけないのよ」
と、鼻で笑っていたのに行ってしまった。
飛行機に乗って、高速バス(東京アクアライン通った!)に乗って。
しかしそこは西野真理なので、なんとかお得にこのことを使えないかと考えたところ、9月に出演させて頂く音楽の友ホールでの独唱曲をちょうどこのタイミングで決めていただいたので、
「塚田先生、7月12日の日曜日、合わせお願いできませんか?」
と連絡を取ったところ◯。
11日の朝、石川県を出て野口塾に参加。その日は君津駅前に泊まり、翌日は高速バスで東京に入り塚田先生宅へというスケジュールを、ものすごい勢いで決めてしまった。

さて、野口素麺塾だが、普段は「素麺」の無い「野口塾」。全国各地に野口先生をお呼びしようという方がいらっしゃって、お呼びがかかると野口先生は基本お断りになることなく、どこへでも出向いてくださる。
組織化されているわけではなく、やりたい人がやりたいようにやっている(のだと思う)。
野口先生はその要求に答えて、全国の野口先生を師と仰ぐ人たちのために、野口先生が様々なところでおっしゃったり書かれたりしている
「手に入れたものは全て失い、与えたものだけが残る」
を、実践してくださっている。

そんな野口塾を石川県ではYさんが開催して下さっているのだが、今年はYさんのご都合が悪く、今年石川県開催は無し。参加できなくて残念だなと思っていたところに素麺塾の情報を得、そのお世話役の山中さんにも無理を言って、定員に達しているのに無理に西野真理を押し込んでいただき、千葉まで出向くことにしたのである。

☆お宅拝見☆
先生のお宅は一山だった。
豪邸という表現とはちょっと違う。ものすごく敷地の広い、田舎のおじいちゃんの家って書くのが一番感じが出るかな。
・家にパワーショベルがあります。通勤に使うのではありません。
・観音堂があります。
・なんかすごい銅像みたいなのが立っています。
・大きな池が複数あります。鯉が泳いでいます。
・家が複数あります。蔵もあります。
・下の家から上の家に行くとき、野口家の人はバイクです。(坂道)
・冷蔵用に作られた横穴があります。
・一族のお墓があります。
・すももがなっています。食べ放題。みんなで食べました。
・書斎として1つ家が建っています。それとは別にまだ書庫があります。
・お地蔵さんが坂道の途中にあります。
・犬がいます(普通)

☆素麺塾概要☆
まず3人の先生の実践報告。終わったらお素麺を食べてから野口先生の敷地内散策。これ、小学校1年生なら遠足。
戻ったら「俳句大会」。
一人ニ句作ってそれを1枚の紙に貼って、それぞれが1番いいと思う句と2番目にいいと思う句を発表して、最優秀賞を決める。
私はこの句会がこんなマジなものとは知らず、適当に書いて出した。知っていても出来た句は同じだが。そんな私の句がこれ。
    「なんとまあ 流しそうめん 野口塾」
ふざけている。
当然誰にも相手にされなかった。

あとは自己紹介をしつつ宴会スタート。
参加者32人は、東京・愛媛・埼玉・千葉・栃木・大阪・青森・北海道・神奈川・秋田・広島・石川(私)。
一番驚いたのは、うち10人が出版社の方だということ。
私は当然、自己紹介で歌うのであるが、今回は謙虚に、野口先生から「何か1曲」と言って頂いてから歌いましたよ。

ここまでが過去のエッセイ転載
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先程のお電話に戻りますが、上記エッセイに書いていた「素麺塾」ですが、コロナはなくなりそうにもないので、次回からは「おでん塾」にするそうです。
真夏のおでん!楽しそう。

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