※同一内容をYouTubeにもアップいたしましたので、文章を読むのが面倒な方はそちらをどうぞ
そのあたりの言い訳はこの際「時効」の一言で済まさせていただくことにして・・・
教員生活の間、ずっと思っていたことがあります。
「今の学校に足りない授業があるとしたら?」
私は
「作文の授業」
だと、ずっと思ってきました。
文章を作ることはこんなにも大切なのに、作文をガッツリやる時間(指導される側もする側も)はないのです。
さあ皆様、ここにこれ以上ないチャンスがやってきましたよ。
ChatGPTです。
つい先日
「学校でのChatGPTの使用禁止」
みたいなことをTVで言っていたように思います。
何を言っているんですか!
使わなくちゃ。
私の教員生活は最初の4年以外全部担任でした。担任中何かにつけて、例えば
「意見作文、感想文、反省文、『運動会を終えて』『合唱コンクールを終えて』・・・」
等文章を書かせていました。
生徒も慣れたものではありますがその間何百回、何千回
「何行目まで書けばいいんですか?」
と聞かれたことでしょう。書きたくない子、書くことがないと思いこんでいる子にとって1文字でも少なくすることは切実な問題です。
そこで西野真理が提案するのはChatGPTに条件を与えて下書きを書かせ、それを生徒が校正するという形の作文です。これから先世の中はそうなっていくのですから、そのほうがよほど合理的ですし、持って行き方でちゃんとその生徒の能力も上がりますし、成績だってちゃんと付けることができると思います。具体的に必要な能力は
①条件を与える能力
②それを判断する能力
③校正力
です。
つまりそこまでの国語の能力がとても必要だということ。今後AIが進化すればするほど必要な授業は国語だと私は思っています。
例えば課題が
「『季節を感じること』という題で400字の作文を書きなさい」
だったとしましょう。
書けない生徒は、まず書き出すことさえできません。
そこで先生は、生徒にこう指示します。
①ChatGPTに自分の思い付くキーワードを最低3つ与えて、最後に400文字でと入力して文章を書かせなさい
②①のキーワードを変えながら最低3つの作文を取り出しなさい
③その中から自分が一番いいと思う作文を選びなさい
④③をもとに自分らしくなるように作文を校正しなさい
⑤「・入力したキーワード・元にしたChatGPTの文章・あなたが校正したもの」の3つを貼り付けて、先生のフォルダーに提出しなさい
<西野真理が実際にやってみました>
~1つ目~
歌 シューベルト ライフワーク の言葉を使って、「季節を感じること」という題で400字の作文を書いてください
ChatGPTの文章
シューベルトのライフワークといえば、数多くの美しい歌曲です。その中でも、季節をテーマにした曲は多く、季節を感じることの大切さを歌い上げています。
季節を感じるということは、自然と共に生きることでもあります。春には桜が咲き、新しい命が芽吹きます。夏には陽射しの中で暑い日が続き、秋には紅葉が美しく、冬には白い雪が舞い降ります。四季折々の自然が私たちにさまざまな感情を与えてくれます。春は希望にあふれ、夏は情熱的、秋は別れの季節、冬は静寂な季節。自然とともに感じる季節の移り変わりは、私たちの心を豊かにしてくれます。
しかし、現代社会では季節を感じることが少なくなってきています。エアコンが効いた部屋や、冬でも暖かいコートを着ることで、季節感を忘れてしまうこともあります。しかし、季節を感じることは、私たちの生活に彩りを与えてくれる大切な要素の一つです。自然と共に生きることで、自然と共鳴することができ、心身ともに健康で豊かな生活を送ることができるでしょう。
季節を感じることは、シューベルトが歌うように、美しいものです。自然と共に生きることで、季節を感じることができます。四季折々の自然の中で、私たちは自分自身を見つめ直すこともできます。自然と共に生きることで、私たちは自然とともに成長し、美しいものを生み出すことができるでしょう。私たちは季節を感じ、自然と共に生きることで、人生をより豊かなものにすることができるのです。
1つ目を書かせてみると、私の書いて欲しい文章とは全く違います。つまり指示の仕方が悪かったので、この作文はボツです。
~2つ目~
北陸の冬 花壇のチューリップの芽 楽しみ の言葉を使って「季節を感じること」という題で400文字の作文を書いてください
ChatGPTの文章
北陸の冬は厳しい寒さと積雪に見舞われる季節ですが、その中でも春を待ちわびる喜びを感じる瞬間があります。私が楽しみにしているのは、花壇に顔を出すチューリップの芽です。
厳しい寒さが続く中、窓辺から外を眺めると、まだ雪に覆われた庭にただ黒い塊が並んでいる花壇があります。しかし、その黒い塊の中には、ほんのわずかに緑色のチューリップの芽が顔を出しています。それはまるで春の息吹を感じさせるもので、私は毎日楽しみに眺めています。
その芽がどんな色や形をしているのか、どんな花が咲くのか、想像するだけで胸が高鳴ります。そして、やがて暖かくなり、雪解けが進むにつれて、芽がどんどん成長し、ついには鮮やかな色と華やかな形をしたチューリップが咲き誇るのを想像すると、とてもワクワクします。
花壇に顔を出すチューリップの芽を見ると、まだ寒い冬の中にあっても、季節を感じることができます。春はまだ遠く、道のりは険しいかもしれませんが、私たちは芽吹く命の力強さに励まされ、春の訪れを待ちわびることができます。
北陸の冬が終わりを告げると同時に、花壇に咲くチューリップの美しい花が私たちを迎えてくれるでしょう。その時の喜びは、きっと言葉では言い表せないほど大きなものになると思います。
「楽しみ」という感情を表す言葉を入れてみると、なかなかいい文章を提示してくれました。これを手直しするといいかもしれませんが、先生から「最低3つ」と指示されているので、さらにキーワードを変え、もう一つ作文していただきましょう。
~3つ目~
コンビニスイーツ 学校帰り 友達と ワクワク感 楽しみ 思い出 の言葉を使って「季節を感じること」という題で400字の作文を書いてください
コンビニスイーツは、忙しい学校生活の中で友達と一緒に楽しむことができる、特別なおやつの一つです。放課後にコンビニに行き、ワクワク感を味わいながら、新しいスイーツを探すのは、私たちにとって特別な楽しみの一つです。
そして、季節を感じることもできます。夏にはかき氷やアイスクリーム、秋には栗やかぼちゃの味がするスイーツが店頭に並びます。冬には、クリスマス限定のケーキやチョコレートが人気を集め、春には、桜や苺の味がするスイーツが登場します。
私は、春が大好きで、桜の花びらが舞い落ちる季節には、コンビニのスイーツで桜の味を探すのが楽しみです。桜の味は、ほのかな甘さと華やかな香りが特徴的で、一口食べると春の訪れを感じます。
また、夏には、シャリシャリとした食感のかき氷や、ジューシーなスイカやメロンの味がするアイスクリームがお気に入りです。友達と一緒にコンビニで涼しげなスイーツを探すのも、夏の思い出の一つです。
季節に合わせたスイーツを食べることは、その季節を感じることにもつながります。コンビニスイーツは手軽に買えるものですが、その中には季節限定の味もあるので、ぜひ友達と一緒に探してみてください。きっと、美味しいスイーツと一緒に、季節を感じることができるはずです。
いかがでしょう。
キーワードをより身近にすることによって、かなりいい感じになったように思います。
ただ実際は「学校帰りにコンビニ」はないので、「夏休みに」とか「塾帰りに」に変えたり、あまりに詩的な表現、例えば「桜の花びらが舞い落ちる」のような部分は中学生っぽく変えるほうが楽しさが増すように思います。
~西野真理ChatGPT校正提出作品~(先生へ提出用)
①キーワード
コンビニスイーツ 学校帰り 友達と ワクワク感 楽しみ 思い出
②ChatGPTの元作品 3つ目
③以下、校正作品
校正その1
夏休みの塾帰りの楽しみといえば、友達と一緒に楽しむコンビニスイーツ、特別なおやつです。コンビニに行き、ワクワク感を味わいながら、新しいスイーツを探すのは、私たちにとって塾帰りの楽しみの一つ、というよりむしろそのために塾に行っていると言ってもいいくらいです。コンビニスイーツからは季節を感じることもできます。夏にはかき氷やアイスクリーム、秋には栗やかぼちゃの味がするスイーツが店頭に並びます。冬には、クリスマス限定のケーキやチョコレートが人気を集め、春には、桜や苺の味がするスイーツが登場します。私は特に秋のスイーツが好きで、モンブランのあのザラッとしつつトロッとした感じは最高です。
季節に合わせたスイーツを食べることは、その季節を感じることにもつながります。コンビニスイーツは手軽に買えるものですが、その中には季節限定の味もあるので、ぜひ友達と一緒に探してみてください。きっと、美味しいスイーツと一緒に、季節を感じることができるはずです。
できました。
これを文字カウントすると419文字ありましたので、19文字減らしましょう。
校正完成版
塾帰りの楽しみといえば、友達と一緒にあれこれ探して買うコンビニスイーツ。特別なおやつです。コンビニに行き、ワクワク感を味わいながら新しいスイーツを探すために塾に行っていると言ってもいいくらいです。
コンビニスイーツからは季節を感じることもできます。夏にはかき氷やアイスクリーム、秋には栗やかぼちゃ味のスイーツが店頭に並びます。冬には、クリスマス限定のケーキやチョコレート、春には、桜や苺の味がするスイーツが登場します。私は特に秋のスイーツが好きで、モンブランのあのザラッとしつつトロッとした感じやかぼちゃの自然な風味のタルトは最高です。
季節に合わせたスイーツを食べることは、その季節を直接感じることなのです。コンビニスイーツは手軽に買えるものですが、その中には季節限定の味もあるので、ぜひ友達と一緒に探してみてください。きっと、美味しいスイーツと一緒に、季節を感じることができるはずです。
393文字にしました。その他実際は
「2段落で」
の指示等もあるでしょうから、そこはこれからどんどん直していけばいいですね。
いかがでしょう?こういうやり方。
正直、結構時間かかりました。ちょうど授業時間、50分くらいかな。
2 件のコメント:
ChatGTPかなり使えますね。
最初はやや不器用な翻訳みたいなものが出て来るのかと思いましたが、
ご紹介くださった回答文を見ている限りは、80点は付けられます。
多分情報入力量が多くなるにつれて、同時通訳器の音声のように
ぐんぐん精度が上がるでしょう。
下手な教師よりは10倍マシ!語彙量、類例量、作文速度などで圧倒的に
優れているのですから。初等中等教育では充分。あとは使用者が校正・推敲した
経験知・個性知をフィードバックできるなら、完璧です。「論理国語」なんて、もはや
前世紀の遺物です。
昔の国語教育には「作文指導」とか「範読」というものがありましたが、この創作性
表現性の指導が国語に欠落したのが、理系教科も含めた学力低下の原因と診ています。
その意味で、ご指摘はまことに正しいです。
表現の主体性が無くなるのでは?受け身になるのでは?という心配は当然出てきますが、
漢文の素読なんかも、当初は口移しで耳から聴いて丸暗記していたくらいです。
いずれ卵が先か鶏が先か?の問題になるなら、卵も鶏も!卵と鶏を循環させればいい
だけのことです。やがてはChatGTPが宮沢賢治やシュペルヴィエルみたいな詩も書けるように
なるんじゃないですかね。 また、書きます。
sapporo1972さま
文章のプロの方にこのような肯定的なことをコメントいただけてとても嬉しいです。
私自身は文章の指導をきちんと受けた記憶もなく、それでも「中学生の担任」として作文指導をせざるを得なかったこと。また幼い頃の私同様、書くことの苦手な生徒になんとか「書き始めることへの手助けをしたい」という気持ちで、教師時代は担任としての作文指導をしていたと思います。
お書き頂いたように、ChatGPTは下手な教師よりはるかにそれをやってくれるツールとして、もし私が現役教師なら大歓迎です。
また、例に挙げて下さった「漢文の素読」ですが、私の歌の練習なんて、未だにそのままのように思っています。
ChatGPTについてはこれから相当議論になるとおもうと、とても楽しみです。
さらに、「翻訳こんにゃく」もきっと目の前かと思うと、それもとっても楽しみです。
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