八ヶ岳ブログの続きといえば続きです。
修了演奏後3人の先生から全員に講評を書いた紙をいただきます。
私もいただきましたがそのお一人、ドイツリートがご専門の松井先生の紙には次のように書かれていました。
「(前略)タイトルは原詩ではあえて『ローレライ』と言っていないのでそのほうが良いと思います」
これには少々長い説明が必要ですのでお付き合いください。
リーダークライス作品39の3曲目は「Waldgespräch」
一般的には「森での対話」とか「森の会話」と訳されています。
~詩の内容~
森に男がいると、美しく装飾された馬に乗った美女が通りかかります。男は
「娘さんこんな夜遅く馬でどこへ行くの?危ないからぼくが送っていくよ」
と声をかけます。すると美女は
「男たちに騙されて私はとても傷ついたのです。角笛が聞こえてきたわ、お逃げなさい、あなたは私が誰だか知らないのね」
しかし男はその美女にすっかり魅了され、おそらくここで関係を持ったと思われます。
(※ 後で出てくるLeibという単語には「肉体」という少々エロティックなニュアンスがあり、そのことを表していると思われる)
その後男は
「あんなにきらびやかな馬、若く※魅力的な体・・・わかった!君は水の精ローレライだ!」
美女は正体を明かします。
「あなたの言う通り、私は水の精ローレライ。もう寒く暗くなってきました。あなた決してこの森から出ることはできません」
詩はここで終わります。
次にローレライですが
~Wikipediaより~
ローレライ(ドイツ語: Loreley )は、ドイツのラインラント=プファルツ州のライン川流域の町ザンクト・ゴアールスハウゼン近くにある、水面から130mほど突き出た岩山、あるいはその岩にいるとされる精霊の伝承のことである。伝承を基にしたハインリヒ・ハイネの同名の詩もまた有名である。
~Google~
ドイツのライン川流域に伝わる伝承に登場する水の精霊(人魚)。 ライン川のビンゲン近くにある同じ名前の岩の上に棲んでいるとされ、長く美しいブロンドの髪を梳きながら、岩の上で美しい歌声で歌を歌って傍を通る船を次々に誘惑し、その美しい姿に見惚れ、美声に聞きほれた船乗りたちを次々に遭難させるとされる。
おそらくドイツ人やヨーロッパの人なら
「森の対話」
と聞けば「森」で「男」と「女」が対話して、その女は「ローレライで」~というふうに即座に連想が進み
「はは~森で男がローレライに騙される話だな」
とピンと来ることになっているのだと私は思います。
さて、話をこの曲の題名に戻します。
私はこの詩の題名を
「水の精ローレライと猟師」
と訳しました。(今考えると「猟師」でなく「男」にしたほうが良かったかもしれません)
「森での対話」
と聞いても、全くピンとこないからです。
私のコンサートに来てくださるドイツリートを知らない方に、お聴きになる前に少しヒントをあげておかないと、歌い始めても何のことだかわからなくて面白くないと考えたのです。
しかし、松井先生のおっしゃることはごもっとも。
原題にないことをこんなにごちゃごちゃ書くのはいかがなものか・・・
リーダークライス作品39の全曲コンサートはまだ1年以上先だと思いますが、それまでにじっくり考えようと思います。
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